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アイシテル

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「シズちゃん、よくこんなの吸えるね」

静雄がシャワーを浴びて戻ってくると、臨也がベッドの上でうげっと不味そうに舌を出していた。
火を点けたばかりの煙草を揉み消す様をぼけっと眺め、ああ勿体ない、と臨也を軽く睨む。

「勝手に吸ってんじゃねぇよ」

「いやー、一回試してみたくてさー。でも、やっぱり俺には合わないや。無理無理」

手を数度左右に振るとうつ伏せに倒れ込み、宙で交差させたすらっと伸びた足をぶらぶらと揺らして遊ばせていた。
そんな臨也の隣に腰を下ろすと、その振動で数度上下に揺れ動く大きめのベッド。
臨也の傍に転がっていた新品の煙草を拾い上げ、慣れた動作で火を点す。
ふっと煙を吐き出すと、臨也が煙たそうに咳払いをした。

「あんまり吸わない方がいいよー。健康面でもよくないし、髪とか服とか、すっごい匂い染みついてるし。それに、煙草臭いと女の子に嫌われちゃうよ?そしたら、一生彼女なんかできないねぇ」

くすりと意地悪く笑う臨也に、静雄は顔を顰めた。

「手前は、俺に女が出来てもいいのかよ」

不機嫌顔の静雄に、臨也はきょとんとしてしまう。
いいも何も、個人の恋愛、特に、静雄の色恋沙汰にあれこれ口を出す気はない。
ただし、邪魔したり彼の気持ちを利用して弄んだりはするかもしれないけれど、と少しの逃げ道を作っておくことは決して忘れない。

「何?俺に干渉してほしいの?なら、俺がどんな事してもいいって容認してるようなもんだよねぇ」

相手の女の子にどんな事をしてやろうか、いや、どうせなら彼女の気持ちを己に向けて、静雄から遠ざけるという事も出来る。
はたまた、自分たちの関係を暴露して、俺のモノだから、と脅してやるのもまた一興。
愛し合ってるから、と情事中の動画でも突き付けてやれば、恐らく相手は容易く信じてくれるだろう。
考えれば考える程面白いストーリーが描かれていく脳内。
人間を掌で踊らせること程面白いことなどないと心の底から思った。

「臨也」

常より低めの声で名を呼ばれ、はっと意識を引き戻す。
声のした方へと顔を向ければ、いつの間にやら静雄が空いていた距離を詰めていた。

「んー?何?」

にっこりと満面の笑みを作ると、静雄がゆっくりと覆い被さってくる。

「俺は、女は作らねぇ。手前のモンでいてやるよ」

「えー何それー。別にいらないんだけど」

心底嫌そうに眉間に皺を寄せる。

「その代わり、手前も俺のモンだ」

「やだなぁ。俺、束縛されるの嫌いなんだけど」

「煩ぇ。一生縛り付けてやる」

「きゃーこわーい!シズちゃん、俺にゾッコン?」

きもーいと声を上げて笑うと、即座に口を塞がれる。

「ん、っ、シズちゃ、にがっ」

解放されると同時に、顔を顰めて口元を抑える。
先程静雄が吸っていた煙草の名残が、唇を合わせたことにより臨也にも行き渡る。
きっと、この先一生慣れることのない味だと臨也は眉を顰めた。

「そんなに俺が欲しいなら、考えてあげないこともないよ。でも、まずは禁煙してね?」

渋い表情で沈黙を守っていた静雄は、観念したように『努力する』と小さく呟いた。
それに満足した臨也は、よくできました、と彼の金髪を軽く撫でてやる。
そして、悪魔の微笑みを携え、静雄の首に己の腕を絡めて強引に引き寄せた。



「アイシテルよ、シズちゃん」
作品名:アイシテル 作家名:arit