朝の茶事
― 隊長、おはようございます。
2回正しく鳴らされたノックに、目の前のクソガキが明るい声で答える。
「お、入っていいぞ」じゃねぇよくたばれこの変態がぁ。
そして俺はまた殺意に限りなく近い感情でもって諦めるという選択肢を選ぶ。
― 失礼致します。本日の予定をご確認願います。本日は朝食後の幹部会議が終了し次第、すぐに例の取引の件で ―
毎度毎度思うがこいつは絶対イカれている。
だってそうだろぉ、初回からこんな感じだったんだから。
初めて俺がこんな目にあったあの日も、この女は扉を開けて顔色一つ変えずにスケジュールを読み上げた。
― それから十代目がこの書類に目を通しておくようにと。
「そうか、じゃあそれは」
待て、これは
「そこに置いといてくれ。悪いな。」
初めてのパターンだぜぇ。
女は眉ひとつ動かさずにこっちへ近寄り、書類の束をベッドサイドの小さなチェストの上に置いた。
ちらりと向けられた視線はあくまで業務用で、軽蔑も好奇心も混じっていなかった。
ああやっぱりこいつらイカれてる。
女が去った後、目の前の変態が犯罪級の笑顔で俺に言う。
「泣くなよ、スクアーロ。」