二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

くれのあゐ

INDEX|1ページ/1ページ|

 
秋も盛り、川端の紅葉が美しく色づいている。

それは、この世のものとは思えない優美な景色。


だけれど

「やはり駄目だな」

ふと、貴方の口から零れ出た言葉。


「こんな赤さは、血を思い出してしまう」


枝<え>についている紅葉は、水面<みなも>にその姿を映す。

散った紅葉は川の上を流れ、どこへともなく消えてゆく。


「春の桜、夏の空蝉、秋は紅葉。平気なのは冬の雪くらいか」

自嘲気味に吐き捨てる、貴方。


現身<うつせみ>と黄泉、交わることのない世界。

散ってしまった紅葉は散ったままで。
二度と枝に戻ることなどないのだ。


もう いなくなってしまった彼の人もまた、戻ってくることは、ない。



なのに


「ーー貴方は…貴方は、目を背けてはいけないのです。

血刀の犠牲となった命を無駄にしない為に、


今まで殺めた人たちへの手向けに、






贖罪の為に、



雪の純白<しろ>さも、深紅<あか>に染めなくてはいけない」





憎むべき相手なのに。
怨むべき相手なのに。



口を衝いて出る言葉の数々は



「どうしても耐えられないのなら、私を赤で染めればいい。私は既に、雪代ではなく緋村巴。

ーーー私は貴方の鞘なのだから」




何故、こうも矛盾している?








紅い 赤い 緋い



血染めの、川



こんなにも紅く、血に、罪の意識にまみれた川を、御仏は知っているのだろうか。







嗚呼


せめて


せめて



あと少しだけ









全てが韓紅<からくれない>に染まるまで
作品名:くれのあゐ 作家名:凜々子