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落下する恋

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俺はほとほとあきれたよ、シズちゃん。

君はなんでそうなの、もう嫌だよ。やらしい、最低。
そうやってストイックそうに見せて敢えて色気を主張する、その服装だってさぁ、弟くんからのプレゼントなんて言い訳なんじゃない?
それが似合うから、それがひどく艶っぽいから着てるんでしょ。そうだね。絶対そうだ。
媚売って媚売って媚売って媚売って……一体なにがしたいわけ?
そんなに抱かれたいの?だれでもいいの?俺じゃ駄目なの?俺だけじゃ、駄目なの?
ねぇ、俺はこんなに好きなんだよ。こんなに愛してるんだよ。みせてあげたいくらいだ。
見たい?見たければ俺の左胸をかっさばいてみればいいよ。かつては人間愛でできてた俺の心臓をみてよ。
今はシズちゃんへの気持ちでいっぱいなのがわかると思うよ。はちきれそう。
俺の目をえぐってみなよ、中にはシズちゃんしかないよ。池袋とシズちゃんしかいないんだ。
脳だってのぞいてみなよ。記憶も妄想も全部、きみだ。
だっていうのに君はなんなの、俺がシズちゃんを愛するように君も俺を愛するべきだ。
他の人に抱かれないでよ。誰の目にも触れないでよ。
俺はシズちゃんの頬に風が当たるのすら、嫌なんだ。


臨也はさめざめと泣いた。
広いベッドで静雄にまたがり、その服を遮二無二乱している最中のことだった。
静雄は冷めた目で彼を見、口上を聞いてやった後で自分の乱された服を少し直した。
弟からもらった大切な服だ。せめてベストだけでも皺はつけたくなかった。
それに静雄は慣れていた。彼の恋人は少し、情緒不安定なのだ。

「何考えてるの?俺以外のこと?」
臨也は涙を隠しもせずに静雄に問う。
彼の手をつかみ、縫いとめた。自分の力では叶わないということなどわかっていた。
わかっていても静雄をとらえなければ気が済まない。
「俺が、ずっとシズちゃんのことだけ考えて、みて、愛してるときに君は一体なにしてるの?上司に尻尾振ってるの?弟に色目つかってるの?闇医者に色仕掛け?高校生相手に媚てるの?」
いよいよ臨也は声をあげて泣いた。
「淫乱なシズちゃんなんて大嫌い!」

「ごめんね、大嫌いなんて嘘。好きだよ、愛してる。愛してるよ。」
静雄と額を突き合わせて、喚く。

「お前の人生幸せそうでよかったよ。」
静雄は言ってやった。
嫌みだった。

「俺がお前を好きでほんとによかったな。馬鹿野郎。」

暴言を吐きながらも抱きしめてやる。
どんなに嫉妬深くて面倒くさい男でも、臨也は静雄の恋人なのだ。

「俺がいつだれに媚売ったよ。お前以外のだれに抱かれたっていうんだ。勝手なこと抜かしてるとぶっ殺すぞ。」
「だって……!」
「だってじゃねぇ。酷ぇ奴だな、手前は。」
「シズちゃ、」
「俺は信用ないもんな。」
「違う!ごめん、信じてるよ。大好きだよ。」

臨也の涙が静雄の頬を濡らす。
風に当たるのも嫌だといったくせに、自分の涙は良いのか。なんて勝手な男だ。

「泣いてんじゃねぇよ。俺は、お前のなんだろ?」
「…うん、うん。」
「お前のこと好きだから毎晩毎晩痛ぇのに突っ込ませてやってて、ちゃんと毎日お前のこと考えてる。それじゃ、駄目なのかよ。」
「…駄目じゃない。」

臨也はしゃくりあげながら静雄の背に手を回した。
その様はまるで癇癪持ちのこどもだった。
静雄はため息をつく。

「…シズちゃん、大好き。」
「知ってる。俺もだから、安心しろ。」
「好きって言って。」
「…好きだ。」
「よかった。」

またすぐ泣くくせに。
知っていたけれど静雄は黙った。黙って臨也の涙をぬぐってやっただけだった。


「……大好き。」
作品名:落下する恋 作家名:白米