キョンの片思い 短編
眠いのも無理はないと思う。
ただいま午後2時。
5時間目の英語の時間だ。
ただでさえ普通授業は疲れるのにそれ+俺の嫌いな英語ときやがった・・・
あぁ・・・
眠い
ふわぁーっと欠伸をしたとき、俺には一人の人物が目に入った。
(・・・・古泉。)
あぁー、そうか
この時間、あいつのクラスは体育の時間か。
桜が咲き誇り、花びらがそこらじゅうを舞うこの季節は無駄に景色がきれいだ。
そのせいか、いつもよりあいつが遠くに居る気がした
(あいつ、サッカーしてる姿も様になってるよなぁ・・・)
風になびくその髪も、一生懸命走ってボールを追いかける姿も・・・
「ちょっと・・キョン、何見てんのよ」
げしげしと俺の椅子を蹴って小声で話しかけてきたのはハルヒだ。
「なにって・・・あれ」
といって、古泉を指した。
「あー、古泉君ね。ちょっと呼んでみましょうよ」
「やめとけ!先生に怒られんぞ。」
いーのいーの、とドアを勢いよく開けたせいもあって春風が思いっきり入ってきた
そのせいでプリントやら鉛筆やらが床に落ちたり廊下に吹き飛ばされたりしてたやつもいた
「ちょ・・・ハルヒ、はやくドア閉めろ!みんなが迷惑してんぞ」
「良いじゃないちょっとぐらい!あ、古泉君こっち気づいたみたいよ?」
外を見てみると古泉がこっちを見ていた。
相変わらずのスマイルで
「こーいずーみくーん!頑張ってねー」
大声で叫びながら手を振るハルヒに苦笑いを浮かべながらも手を振りかえしている古泉。
「・・・・・・・。」
茫然とそのやり取りを見ていた俺だったがハルヒに
「キョンも手を振りなさいよ!古泉君こっち見てるわよ?」
と言われ。
仕方ないから古泉に手を振る。
そしたらあいつはニコっと笑い手を振り返した
「・・・・っつ。・・・・・おい、ハルヒ。もう窓閉めろ。」
もう、なによっ。と文句をたれながらも素直に従うハルヒ。
・・・・・なんだっていうんだ。
さっき古泉に手を振られた時思わずドキッとしてしまった・・・
野郎に。
多分、春だからだ。
桜がきれいなこの季節。
俺は自分でも気づかぬうちに古泉に惚れていた。
気のせいだと思いたいが・・・・な。
作品名:キョンの片思い 短編 作家名:にゃんか