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【ポケモン】エフィブラ戦後【腐向け/N主♂】

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あっ、と思ったときにはすべてが遅かった。

ブラッキーが叩きつけた不意打ちは、エーフィの姿を捉えたものの、
空を切る音と共にひらりひらりと淡いかけらだけが宙に散った。

「……身代わり!?あ、しまったっ!?」

Nは嘘泣きをしたエーフィに動かないように指示をしていた、
だからその間に鈍いで攻撃力を上げていた。
その間に作れていた身代わりはたった今、消え去り、
軽やかに現れたエーフィは、主人(トレーナー)の指示を聞き、すぐ攻撃してくる。

シグナルビーム……ブラッキーの弱点だ。

おまけに特防が下がってる。
そして急所に当たったみたいだ。

こちらがブラッキーを出し、Nがエーフィを出してきた時点で気づくべきだったかもしれない。
自信のある対抗策があったから、あえて苦手なタイプで挑んできたのだろう。

気を失って倒れているブラッキーを見て、泣きそうになる。
ごめんね、そしてありがとう、と涙をこらえてブラッキーを戻し、
ポケモンセンターへ行くため振り振り返ると、
無言のままエーフィを戻したNがこちらにやってきていた。

「どこへ行くの?」

抑揚のない声がブラックを呼び止める。
まっすぐにこちらを見ているものの、見据えている場所がどうも曖昧な感じがした。
闇の色を濃くした瞳は日中に降り注ぐ強い日差しでさえ吸い込まれ、
キャップの影がさらに強調しているようだ。

「どこって……ポケモンセンター以外どこへ行くのさ?」

急いでいるというのに、この無遠慮な質問はブラックを苛立たせ、思わず語尾が荒くなってしまう。

「なんだ、もう遊んでくれないのかと思った。
それじゃポケセンから戻ってきたら、ブラックはまたボクと遊んでくれるのかな?」

Nはそう尋ねて、笑った。
こっちが急いでポケモンセンターへ行きたいのに、
返事をするまで離さない、と訴えるように手首を強く握られる。

「……ブラッキーを診てもらったらね」

言い終えた瞬間、ふっと手首の圧迫が緩んだので勢い良く振りほどいた。

「約束だからね。待ってるよ」

「わかったから。もう、いいだろう」

苛立ちと焦りからブラックは油断していると、
頬に柔らかな熱と感触があり、すぐに僅かな湿り気と冷気を感じた。
何をされたかなんて……分かるわけ……くすっと笑っているNの顔がすぐ横に。

「っ!?」

「変だねぇ……これぐらい誰とでもするでしょ?」

何がおかしいって問い詰めたくなるぐらい笑っているNは
動揺した時落ちてしまったブラックの帽子を拾い上げて、
そのまま離れて、歩き出していった。

「帽子返せっ!!」

大きな声で叫んだものの、聞こえているかはわからない。
ただ、一度だけ振り返り、手にしていた帽子を振っていた。

「アイツ……」

自分のところまで取りに来いってことか……。