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変化

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「成歩堂さん、お久し振りです!」
「お久し振り、茜ちゃん」
成歩堂は茜に軽く手を振った。その面影は昔と変わらない。
「お茶どうぞー」
王泥喜が2人の対面しているテーブルに茶を置いた途端、
「アンタは出て行きなさい!」
と茜に叫ばれ、早々と退散した。


「茜ちゃん、変わったね―」
「そう、ですか?」
茜は不思議そうな表情をする、
成歩堂は、向かいでニコニコと笑っている。
「うん、なんかね、オトナっぽくなったって言うのもあるんだけどね―」
「成歩堂さんも凄いですよね・・・あるイミ」
「何で?」
成歩堂が不思議な表情をしたとき、茜は微笑んでいた。
さっきの立場と逆転だ。
「だって20歳の頃は『リュウちゃん』だったし、7年前は見事な弁護士でした。今は養子とはいえ、子供を2人も・・・」
茜の云う2人と云うのは、みぬきと王泥気のことなのだろう。
正確に云えば、王泥喜は養子でも何でも無いのだが、成歩堂はそこを突っ込まなかった。
「そうだね・・・変わったなぁ、僕も・・・」
遠い目をする成歩堂。
「だからね、茜ちゃん。僕はね、もう弁護士じゃない。キミが好きな僕じゃないんだ。もう・・・ムリはしなくていいんだよ?」
成歩堂は、7年前の優しい瞳で茜に云った。
「そんな・・・」
「あのガリュー検事にも気に入られてるみたいだしね、いいんじゃないの?」
暫くの沈黙が続いた後、茜が突然席を立った。
「・・・今日は、帰ります。また、来ます」
それだけ云うと、茜は成歩堂事務所をあとにした。



その夕方、茜は一人悩んでいた。
(あんなこと云われるなんて・・・思っても見なかった
 仮にソレが私のためだとしても・・・)
そんなとき、茜はあることに気づいた。
(・・・待てよ?成歩堂さんは確か―そう。あの、私と成歩堂さんの『思い出の品』を保管してくれてあった!7年以上前なのに・・・!
 やっぱり、成歩堂さんは、外見は変わっても―
            成歩堂 龍一、なんだ)
茜は何かを決意したように目を閉じた。
(―そう。何があっても、『貴方は貴方』なのだから、変わることは無い。少なくとも、私はそうでありたい.
 だから、このキモチは何があっても手放しません。いいですね、成歩堂さん)
作品名:変化 作家名:Raichi