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手料理

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~手料理~


「後は煮込むだけだし、その間にサラダでも作ろうかな」

静雄さんの家には何回かお邪魔したことあるけど
本格的に台所を使うのは初めてだ

緊張する
やっぱり人様のだからな

「帝人」
「静雄さん、どうかしましたか?」

「いや、作ってもらってばっかりじゃ悪いからな。手伝おうかと思ってよ」
「ありがとうございます!じゃあ、お皿出してもらっていいですか?」

「わかった。結局何作ったんだ?」
「えーっと。焼き魚と煮物とサラダです後お味噌汁」

「そうか、楽しみだ」
「そう言ってもらえると作りがいがありますよ」

こうして楽しい時間が流れつつ
僕は料理をせっせと作った


「完成っと。静雄さん食べましょうか」
「そうだな。じゃあ残りは俺が運ぶから帝人は座ってろ」

「ありがとうございます」

机の上はご飯で一杯になった

作り過ぎたかな
お味噌汁は明日も食べれるし
煮物は冷蔵庫に入れればもっと持つから良いか

「じゃあ食べるか」

「「いただきます」」

静雄さんが煮物や焼き魚に手をつけていく

味見はしたけど大丈夫かな……

「美味しいな」
「本当ですか?」

「あぁ」
「良かったです」

初めて料理を振る舞うのでどうしても緊張してしまう

しかし料理を褒めながら箸を進めていく静雄さんを見て

喜んでくれたみたいで良かった!

と僕は思った


「塩加減とか大丈夫ですか?」
「どれもちょうど良い。俺好みの味だ」

「そうですか」

本当に美味しそうに箸を進める静雄さん

料理をするようになったのは最近だが
料理がこんなに楽しいものだとは思わなかった

やっぱり食べてくれる人がいるからなのかな
最初の方は緊張やら不安で慌ただしかった気持ちも

こういうのも悪くないな

と思えるまでになっている

「また作ってくれよな」
「はい!」

こうして楽しい夕食はまだ続くのだった



+++++


SIDE 静雄


「帝人」
「なんですか?」

今は俺達は晩御飯を食べ終わり
2人で洗い物をしている

「また作ってくれとは言ったが、作ってもらってばかりじゃ悪いから今度は俺が作る」
「え!?」

俺の発言に帝人は唖然としていた

「なんだよ嫌なのか」

俺は思わず聞き返す

「いっいえ!お願いします!」
そしたら今度は嬉しそうな表情で帝人が返事をした

良かった
嫌じゃなかったらしい

しかし顔には意外という文字が書いてあるように見えた

まぁ確かに俺に料理のイメージなんてないわな

そんな帝人の為に少し説明をした

「一応一人暮らしだからな、少しくらいなら出来る。あんまり期待はするなよ」


ファーストフードばかりで食ってるし
最近料理もしてねぇしな
腕鈍ってるかもだな

そんな事を考えていたら

「そんな!僕は作ってくれるだけで嬉しいです。ありがとうございます!」
「おう」

帝人がはにかむように微笑みながら言ってきた
そんな恋人の姿に俺は思わずにやけそうになったが
慌てて口元を引き締め返事をする

こんなに喜んでくれるとは思わなかったな
やっぱり少し復習もかねて料理の練習しとくか

「とりあえず片付けるか、話はまたその後だ」
「はい!」


俺達は止まっていた手を動かして
また片付けを始めるのだった


「帝人、今日はありがとうな。美味かったよ」
「どういたしまして」


End

作品名:手料理 作家名:神郷