morning
柔らかい声が耳を擽る。
ふわりと夢の中から覚醒した帝人は自分の身体を優しく揺する手の主に視線を合わせた。
「……幽、にぃ…?」
「昨日、また遅くまで起きてたの…?」
聞かれて、午前を回る頃までチャットをしていたと思い出す。
んん、と伸びをしたところで、ふと時計に目を遣れば、
「っもう7時!? 今日の朝ご飯僕だった…!」
すぐ作るから! と飛び起きる帝人の身体を幽の手がゆっくり押し止める。
「大丈夫、今兄貴が作ってるから。帝人はゆっくり着替えておいで」
無表情に近い、けれど決して無表情ではない兄の雰囲気が和らいだことを感じながら、帝人は「ありがと」と呟いて急ぎ制服に袖を通した。