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【土沖】きらいだいすきらいだ/同人誌サンプル

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※サンプルはWEB用に改行を入れています





「……おいこら待て」
「やだ」
「気分じゃねーんだよ!」
「ちょっと、ちょっとだけ。味見するんでさァ」


お前の側が言うなと声を張る前に、柔らかいくちびるが重ねられてほとほとくたびれた。眉を顰め、舌が入ってきたのを放っておいたら、沖田は好き勝手に口付けて遊ぶ。

酒精の匂いがするはずなのに、それはちっとも分からなかった。その代わり、風呂上りの首筋からは屯所で使っている安い固形石鹸の香りがした。後ろ頭を撫でると一度離し、短く息を吐く。気が済んだのかと思って目を見れば、沖田はこちらの首に腕を回して駄々をこねた。

「もっかいする」
それから、今度は弱く触れさせるだけのキスをする。素直な、他に全くの打算がない情欲だった。こいつはもっと、俺以外に何かしらの方法を取ったりすることはないのかと疑問に思い、土方は口を開く。



「お前さあ、自分でしたりすんの?」
「は」



尋ねたら、きょとんと目を丸くした。

こうしてこころを表に出すのは珍しいのだ。とりわけこれにとって、動揺などという感情は、喜怒哀楽以上に乏しいものである。口付けをやめた沖田は瞬きのあと、ややあって顔を顰め、物凄くやりにくそうに答えた。


「……しやすけど」
「……まー、普通にそうだよなあ……」


ふうん、と思った。
それっきり、沖田はことんと俯いた。膝の上で握り込んだ指に分かりやすい緊張の色が見える。これは昔から、自分で言うのはどんなにえげつないことでも平気なくせに、聞かれることや不意打ちには滅法弱かった。


「自分でだって出来やすぜ」
「さっき聞いた」

沖田はじろりと土方を睨みつけると、あろうことか、背中を向けるかたちでどさりと音を立て、こちらの膝に乗ってきた。遠慮のない衝撃と、そのために自分の背を後ろの壁へ強かに打ちつけて、土方は渋面を作る。

「いってーな!」
「自分でしやす」

そう言うなりてきぱきと袴の紐を解いて、それを部屋の隅に放ったのでムキになりやがったと溜め息をついた。人に対して酔っ払いだのと言っておきながら、自分こそ相応に酒が回っているんじゃあないか。今ここで叱り付けるのも面倒になり、土方は色んなことを放棄したい気持ちになる。もう好きにしてくれと上手く諦めて、そのことに少しだけ死にたくなった。

袴を脱いでから素足を真っ直ぐ伸ばすまで、沖田の仕草は淀みなく滑らかだった。しかし、膝の途中まで下着を下ろしたところで手が止まった。相変わらず、一度形勢が崩れたときの立ち直りが壊滅的だ。

後ろから抱え込む格好にさせられているため、どんな顔をして人の膝の上で下着を脱ごうとしているのかは分からない。けれど、流石に躊躇したのが手に取るように分かり、見てみたくなる。仕方なく後ろから手を伸ばし、膝裏を持ち上げて脚から抜くのを手伝ってやった。後ろ向きではやりにくいので向かい合わせに座るよう促すと、存外素直に従って、あぐらを掻いたこちらの膝を跨ぐ。


何も着けていないのに脚を大きく開き、白い袷の裾を肌蹴させて、くちびるを噛んだ沖田はそのあとでひとつ深呼吸をした。






本文に続く