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成長期だからしゃーないはなし

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特別価格中のハンバーガーセットとシャカシャカするチキン(ブラックペッパー味)とナゲットとシェイク(バニラ)をトレイに乗せて嬉々として謙也さんは席に戻ってきた。これはおよそ3時間にわたる部活動を終え、小腹がすいた少年が、晩御飯のつなぎとして食べるにはいささか過剰摂取ではなかろーか。いやバニラシェイクは俺のやけど。

「・・・謙也さん、太りますよ」
「成長期やし、しゃーないっちゅー話や」
「横に成長してまうわ」

謙也さんのトレイからバニラシェイクをうばって、ストローをさす。別にファーストフードがきらいなわけやないけれど、どちらかというと甘味の方がすきなので余程腹がすいていない限り、ここで部活後に飯は食べない。
というか、そもそも家に帰ればあったかいご飯が待っているわけで。目の前の金髪は髪の色に反していささか真面目な少年であるので、多分、家に帰ってもきちんと母親のつくったご飯を食べるんやろう。成長期だろーが思春期だろーが、それが15歳の平常な胃袋具合なんやろか。ちょっと信じられへん。

「だいたいなぁ財前、お前が食べなさすぎやねん」

謙也さんはポテトをつまんだ手でこっちを指した。なんでついでにそれを食ったった。少し悲しそうな顔をされた。1本くらいでなんやねん。ああしょっぱいわ。

「俺はちゃんと一日の基本カロリーはとっとります」
「基本カロリーだけで背はでかならへんで」
「あんたはそのまえに体重が増えるわ」

いくら強豪四天宝寺テニス部の、半端ない運動量をこなしているとはいえ。だいたい最近、着替えのときにみえる謙也さんの腰のあたりに、なかったはずの肉がみえたのは気のせいではないのだから。

「だいたいあんた、今日朝から何食いました?ちょお言ってみてください」
「へ?朝は普通に家で朝飯、白米と味噌汁やろ?で、朝練終わって一限前にメロンパン食って、二限後にドーナッツ2つ、で昼飯に焼きそばパンとコロッケとおかかおにぎり。部活前にコンビニいってファミチキ食べて、ほんで今やな。帰って今日はカツカレーが待っとるわ」
「うわ、ほんまきっしょい」


なんやねんその食生活。それが通常運転ならなおきっしょい。何にそんなエネルギーが必要やっちゅーねん。きっしょい言うたら謙也さんはむぅと口を尖らせた。
男がしてもあんまかわいくあらへんなあ、いや男だからか。とりあえずその口つまんでひねり上げたいくらいにはいらっとした。ナイスいらっとやで謙也さん。

「おまえ先輩に向かってきっしょいとはなんやねん」
「ああ、すいません。謙也さんきしょくわるいですわ、こんな感じでええですか」
「いやそうやのうて!」

謙也さんの手がええつっこみのかたちをして、俺にむけられた。指も、手首も、俺よりはがっしりしているけど、それでもまだ全然太くない、まだ細いもんだ。けど見えないところは確実に浸食されている。

それにしても朝から今まで摂取した食料はこの薄い体のどこに消えていったのか。やはりあれだけのカロリーを使うほどに体を動かしているのか。・・・あんだけ無駄に走るためにはそれだけの数値が必要なのか・・・?浪速のスピードスター(笑)の燃費悪すぎやわ。

「・・・ま、別に謙也さんが健康ならええですけど」
「え、なんなん。お前俺の体心配してくれてたん?」
「はあ、ええ自意識ですね」
「おまえほんまかわいないな・・・!」

とりあえず、と可愛ない俺は呟いてから残り少ないバニラシェイクを飲み干した。これくらいで十分腹は膨れるっちゅーのに。

「俺、貧乳派なんで。それだけ覚えておいてください」

そう口にしたら謙也さんは手にしていたナゲットと、自分の乳を一度交互に見た後、そっとそれを箱に戻して、こちらに差し出してきた。若干上目使いでこっちをみてくるもんで、またいらっとした。本日二回目のナイスいらっとはいりましたー。

「財前くん、これ、食べへん?」

あんたやっぱ最近やばかったんやないか。
まあしゃーないのでナゲットはおいしくいただくことにした。