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誘いの言葉

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非日常に憧れる……ねえ。非日常だってすぐに慣れて日常になる。たとえばそうだなあ……君は人を殺したことなんかないだろう?でもこの世の中、どこかの国では今でも内紛だの戦争だのが起こっている。そんなところに君を送ってあげようか?戦場の真っただ中でに、ナイフ一本だけを持たせて置き去りにしてあげよう。あはははははは、そんなところに連れていかれたら、すぐに死んじゃうだって?そんなことないだろう?だって死にたくないんだろうからね。必死になって生き延びる手段を求めるよ。まあ、でもすぐに君を殺しに来る敵が湧いて出るだろうけどね。
そこでの君の選択肢はたった二つだ。
大人しく敵に殺されてサヨウナラ。
もう一つは敵を殺して生き延びること。
どちらを君は選ぶんだろうね?そうだね、君だって敵を殺して生き延びるコトを選ぶと思うよ。手にはナイフを持っているんだ。それを敵に突き刺せばいい。それで君は生き延びることが出来る。実に簡単なことだろう?死にたくないならそうするしかない。だったら、殺すよね。撃たれる前に撃ち殺せ。刺される前に刺し殺せ。戦場ではそれがルールだ。あたり前の風景だよ。この街じゃね、小競り合いなんてあってもそんな生々しい死体にお目にかかることはめったにない。だから人殺しなんて非日常の最たるものなんて思ってしまうけれどね。一度でも死体を作ってごらんよ。君のその手のナイフでさ。誰かを一度殺してごらん。最初は怖いのかもしれない。目の前が真っ暗になって世界が暗転して、二度と立ち上がれないくらいに絶望とかを覚えるのかもしれないね。

でも君はそれにすぐに慣れる。

殺すことも奪うことも貪ることにもすぐに、ね。非日常と日常の境目なんてそんなモノはないんだよ?死体の山を横目に見ながら食事をすることだってすぐに出来る。非日常なんてその程度のものさ。そんなものが君は欲しいのかい?ああでも……そうだねえ。それでもあえて非日常を求めるというのなら、それも君の人生だ。面白いと俺は思うよ。すばらしい選択だとさえね、誉め称えてもいい。なら、そうだなあ……最初は些細な刺激を君にあげようか。1の刺激で満足できなくなったら2の刺激を求めればいい。それに飽いたら今度は3だ。4・5・6……と繰り返して、君は一体どこまで行きつけるんだろう。それも楽しいね。極めた君も面白いだろうしね。
そっちへ向かうように俺が背中を押してあげようか?ああ、もちろん俺は君に協力を申し出ているだけだ。下心なんてないと言ったら嘘だけど。
俺はね面白ければ何でもいいんだ。君だってそうだろう?タイクツは人を殺すし。だからこそ非日常なんてものを君は求めているんだろう?刺激を求めてどこまでも行く人生ってのもあっていいと俺は思うよ。……ああ、俺だってそうなんだよ。タイクツは嫌い。面白可笑しく毎日を過ごしたい。そういう点では君も俺も大差ない。同じ穴の狢ってコトかもしれないね。そんな嫌そうな顔しないで欲しいなあ。俺だって傷つくよ?まあ一秒後には忘れてもいいけどね。忘れてあげるよりは、壊す方が面白いかな?君を壊したらどうだろうね?面白いかな?ツマラナイかな?まあでも、退屈しのぎにはなりそうだからやってみようかな?本当は君を壊すより先に潰したい相手も居るんだけど。まあ、それは今はまだ置いておこう。君はとても綺麗だから。今はまだとても美しいから。綺麗なモノは壊したくなるんだよ、俺はね。ああでもそれは俺だけの感情なんかじゃない。至極当たり前の願望だよね。永遠に何の変化もなく、その場に在り続けるほうが不快だし不愉快だし醜悪だよ。たとえば満開の桜の花でも想像してごらんよ。一年中咲き誇っていたら飽きるだろう?満開の桜よりも散る儚さの方に心魅かれるものだろう?散る花弁のその下に死体でも埋まっている方が美しい。だから俺のしていることと言ったら至極真っ当な感情の帰結でしかないんだよ。何が目的だって?そんな警戒しなくてもいいよ。君をどうこうするのが俺の目的なんかじゃない。まだ……ね。言っただろう?先に潰したい相手がいるんだ。俺には天敵にしてるような存在が居て、それをね、いい加減に壊して殺してしまいたいんだ。そのために、君を誘っているというところが正解かなあ?真正面から挑んで行ってもアレは壊れないから。だから、ね。方法を変えてみただけだ。君は俺が見つけたちょっとした火種だ。正直まだ君は俺にも見極めなんかついていないんだけども。大爆発を起こしてくれたら面白うなあ。でもどうだろう。不発弾かもしれないね君は。
なあ、君は非日常が好きなんだろう?そういうことに憧れを持っているんだろう?なら俺の手を取りなよ。連れて行ってあげるから。俺の目的のために君なんかいくらでも使って行ってあげるから。この街を混乱に導くための小さな芽。それが今の君なんだよ。
さあ、どうする?俺の手を取るかい?
非日常へ誘ってあげるよ。それだけは保障する。
ただし結末はどうなるか、そんなものは知らないよ。知っていたら面白くないだろう?知らない方が楽しみだ。俺の予想の更に上を行ってくれればもう万々歳だ。
さあ、こちら側に飛び込んでみなよ。何時までもビルの屋上のフェンスの上で、地上を見下ろしていても意味はない。飛び降りるかい?それとも辞めるかい?
さあ選びなよ。君は一体どうしたい?




君という火種を使って俺は、あの天敵を壊して殺して奪いつくすから。そのための新たなるステージの幕開けだ。
さあ、準備はできたかい?



-終-
作品名:誘いの言葉 作家名:ノリヲ