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Birth++ for 12/11

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出会ってから何度目の誕生日だろうか。
 始まりは最悪で、そこから歩んできた道程も決して良いものではなかったけれど、それでもここで隣にいるあんたを見ることにさして違和感がないくらいには、自分の中で馴染んでいるということなのだろう。

 あんたを心底憎んだ時があった。
 あんたを心底許せないと思った時があった。
 あんたという存在が輝けば輝くほど悔しくて打ちのめされた日もあった。

 けれど、あんたがいなければ、今の自分もありえなかった。
 そう思えるまでに、ずいぶん時間がかかったけれど。



 今でもあの頃を思うと、少し、胸が痛い。
 もしたかしたら、あの頃の傷を癒すことは一生できないのかもしれない。
 でも今こうして隣で笑うあんたを、同じ想いで見つめる自分がいるから。
 きっと、それでいいのだろう。


 あんたが俺にくれたもの。
 怒り、哀しみ、痛み、憎しみ、後悔、嫌悪。
 喜び、嬉しさ、楽しみ。
 たくさんのものをこの身体に植えつけて、それに気付かないまま笑って、今も。

「誕生日おめでと、タカヤ」

 知らずにいたあの頃より、すべてを受け止めて呑み込んだこの中に溢れる、暖かくて柔らかな感情。
 笑っているだろうか、自分は。
 何一つ、いらないものはなかった。すべて、必要だった。
 無邪気なあんたがくれたたくさんのものを抱えたまま、今年も一つ、重ねていく想い。

「ありがとう、ございます」

 笑えているだろうか。
 優しいその笑顔に、応えて。

 知っているんだろうか、あんたは。
 愛しく思うその笑顔が、何よりのプレゼントだと。
 わかってるんだろうな、多分。
 あんたはいつだって、ずるいんだから。
作品名:Birth++ for 12/11 作家名:桜井透子