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8月8日

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8月8日


天気は快晴。
腰にベルトをつけ、帽子をかぶって外にでた。
モンスターボールを1個腰から取り出して投げた。
「プテ、トキワシティまで連れてってくれ」



1週間前のこと。
グリーンから電話がかかってきた。
「8日は暇か?」
開口一番にグリーンが告げてきた言葉に思わず笑ってしまった。
「何を笑っているんだ?」
訝しげなグリーンの声に、慌てて返事をする。
「いや、何でもないよ」
「それで?予定はあるのか、ないのか教えてくれ」
「何も予定はないよ。多分トレーニングをするぐらいじゃないか?」
「そうか。だったら8日は家に来ないか?」
「それってマサラの?それともトキワの方?」
グリーンはジムがあるトキワシティに住んでいるが、博士やナナミが
心配するから時々はマサラにも帰っているみたいだ。
「トキワの方だ。午前中はジムの仕事があるから午後に来てくれないか?」
「わかった。あっ、でも午前中に行って掃除とかしておこうか?忙しそうだから
掃除する時間なさそうだし」
グリーンは家事が苦手なので、レッドが時々掃除しに行っている。
「いや、おまえの誕生日なんだから掃除はしなくていい」
今はそんなに散らかっていないと本人が言うなら大丈夫なんだろう。



そんな回想をしている内にトキワシティに着いた。
「プテ、サンキュー」
プテにお礼を言ってボールの中に戻す。
先にジムを覗くと既に帰ってしまったようだ。
仕方がないので、グリーンの家を訪ねる。
インターフォンを押すと、応答があったので来たことを告げる。
すると、ドアが開いてグリーンが出てきた。
「外は暑いだろう、何か飲み物を出すから中に入ってくれ」
「ありがとう、お邪魔しまーす」
家の中は外より涼しくて快適だ。
部屋の中は電話で本人が言っていた通り、それほど散らかっていなかった。
前にジムリーダー関連の仕事が山積みになっていた時の部屋はひどかった。
あの状態を見てからというもの、レッドは定期的に様子を見に来ることにしている。
グリーンが飲み物を持ってくる。ソファに座り、お互いの近況を報告しあった。
会話が途切れると、グリーンがちょっと待っててくれと言って席を外してしまった。
手持ち無沙汰なレッドは、グラスに入っているストローをかきまわした。
カランカランと氷が涼しげな音をたてた。
やがてグリーンが戻って来た。手にはラッピングされた小さな箱を持っている。
「誕生日おめでとう、レッド。お前に出会えて本当に良かった」
手に持っている小さな箱をレッドに渡してグリーンは微かに微笑んだ。
「・・グリーン、ありがとう」
レッドはそう言うと、グリーンに抱きついた。
抱きついてきたレッドの頭をぽんぽんと撫でて、腰に手をまわした。
おでこにキスをするグリーンにくすぐったそうに笑う。
顎に指をあて、上を向かせて唇を重ねる。
「ん・・・」
レッドが息をしようと唇を開くと、グリーンが舌をからめてきた。
「ふ・・んん・・・」
くちゅくちゅと音がして、お互いの唾液が混ざり合う音がする。
やがて唇を離すと、つうっと口から糸をひいていた。
潤んだ目でレッドがもっと・・と呟くと、再びキスをしてくれた。




Happybirthday Red!
作品名:8月8日 作家名:鳴海ゆま