『初恋』の話
広い広い宇宙のどこかの星
そんな星のどこかの場所
そこで起こった小さな出会い
少年はそこで何をしていたのだろうか?
(自称)兄に教えてもらった文字の練習をしていたのかもしれない
少女はそこで何をしていたのだろうか?
兄貴の説教から逃げてきたのかもしれない
そんな2人が出会ったのは……
偶然か、はたまた運命のいたずらか…
一目見たその瞬間、二人の内に駆け抜けた思い…
同類意識……親近感……興味…、そして…
「ねぇ?名前は?」
少女はしゃがみこみ、少年に尋ねる
「……名前を聞くときにはまず自分からと…」
「そうね、私は……」
少女が答えようとした時、カサリ草陰音がする
「あ…ごめん、名前はまた今度!
私達…また会える気がするからっ!じゃあね!」
少女は走り出す直前、コツリと少年と額を合わせ微笑んだ
少女が走り去った後、草陰から出てきたパンダを抱きしめ少年は思う
「何でしょう…顔が…あつい……」
これは昔々のお話
本人達も忘れているような、昔々の『初恋』の話