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二酸化炭素に溺れている

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――苦しい、息が上手く出来ない

こんなにも死にそうなの程苦しいのに、絶対に死ぬことはない

(せめて気を失わせてくれればいいのに)

そんなことすら許してくれないこれを、僕は心底恨めしく思った
それと同時に、いつになったら終えれるのか分からない不安や恐怖心が僕を蝕んでいった



(苦しい、怖い、嫌だ)

(助けて、たすけて)


(いざやさん)









「はぁっ…は……い、ざや…さっ…」
「帝人君、落ち着いて…大丈夫だよ」

苦しくて辛くて、小さい子供みたいに情けなく泣きじゃくる
臨也さんはそんな僕を抱き締めて、優しく背中を撫でてくれた
僕は必死になって臨也さんの背中に手を回して、服にしがみつきながら高級そうなソファーに沈みこむ
臨也さんと僕の二人分の体重が掛かって、ソファーが鈍い金属音を鳴らした

「…い、ざ…さ……んっ!ふっ……ん…」

訳が分からなくてただ混乱して、意味を成す言葉も言えずにいる
そんな僕の口を突然、あたたかくて柔らかい何かが塞いできた

(な、んだ ろう?)

それが臨也さんの唇だと理解するのに、混乱した僕の頭はかなりの時間を要した気がする
なんで とか どうして とか思ったりもしたが、とてもじゃないが考えることは出来ず僕はすぐにそれを放棄した

「ん…は、ふぁ……」
「帝人君……帝人君、」

キスをして、一旦唇を離し、そしてまたキスをする
唇同士が触れると、臨也さんの息が僕に入ってくる
優しくて、微かに涙の味がするキスを、何回も何回も繰り返す
その度に臨也さんの息が、少しずつ静かに僕の体内を侵食していく

僕はそのキスと息に溺れてしまいそうな心地になりながらも、ただひたすらその行為を甘受していた





――どれだけの時間が過ぎたのだろうか


「……はぁ…い、ざや…さん…もう…」
「もう息出来る?」
「は…い……」

何度目かのキスを終えた頃、漸く自分で呼吸が出来るようになっていた
混乱していた頭も落ち着きを取り戻し始め、思考が動き始める
すると今頃になって今までやっていた行為に対して羞恥の念に駆られたが、この際その感情は無視することにした


臨也さんはゆっくり僕を腕から解放するとソファーに横たわらせて、綺麗な指で僕の頭を優しく撫でてくれた

「……臨也、さん」
「うん」
「臨也さん…臨也さん……」
「うん、此処にちゃんといるよ」

呼び掛けに答えてくれるその声に安心して、止まりかけていた涙がまた溢れてしまった

「怖かったね、もう大丈夫だよ。安心していいからね」

僕の涙を拭って、額に触れるだけのキスをくれる
臨也さんに向かってそっと手を伸ばすと、小さく笑いながら自分よりも大きな掌でしっかり握ってくれた
それが嬉しくて、握る力をちょっと強める
そうしたら臨也さんも同じようにしてくれる

感じる熱が心地よくて、ずっとこうしていたいって思った




「今日は疲れたろう、眠ったほうがいいよ」
「…でも、」
「だーめ。ほら、」

臨也さんはぽんぽんと僕の背中を優しく叩いて、僕が眠るように促す
もっと臨也さんの声を聞いていたかったが、色々といっぱいいっぱいで限界だった僕はあっというまに眠気に襲われた

「おやすみ、帝人君」
「……おやすみなさい、臨也さん」

そして臨也さんの笑顔を脳に焼き付けながら、掌の熱を感じながら、僕の意識はゆっくり沈んでいった






「……どうか、」




――しあわせなゆめを いとしいこ






意識が沈みきってしまう直前、砂糖菓子みたいに甘くて優しい声が聞こえた気がした