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恋人の話をしよう

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今日は俺の恋人についての話をしよう。

まず、俺の恋人――もうこの響きだけでよだれが出そうなんだけど、まぁこの子は可愛い。
恋は盲目?そんな言葉で片付けられるものじゃないよ。

こぼれおちるんじゃないかと思うぐらいに大きな青みがかった瞳、まん丸くて大きなそれが絶妙な位置に置かれている。
まろやかな白い頬。これがもうマシュマロ並みに柔らかくて弾力がある。
ちょっと突いたらそのぷにぷにしか感触にハマることうけ合い!
さらに低めの小さな鼻。ちなみに低いと彼に直接告げることは止めておいた方がいい。
俺やあのクソガキみたいにボールペンで穴を開けられることになるよ。

そうそう、あの子にはそういうちょっとだけ暴力的なところもあるんだ。
まぁ暴力なんて乱雑な言い方は似合わない。キレるなんてものでもない。
そうだなぁあえて言うなら裏の顔?ってやつ。
でもまるっきり裏返るわけじゃなくて、じわりと歪む、という感覚。
あーわっかんないかなぁこれ。ま、軽い気持ちでわかるわかるーとか言われたら、俺こそナイフで刺すけどね。

それからやっぱり一番魅力的なのはあの唇かなぁ。いや、目のほうが俺は好きかなぁ。
可愛いんだ、とにかく可愛い。綺麗なピンク色の唇が開けば真珠のように真っ白な歯が少しだけ見える。
その歯でかまれたい!とか言ってごらん。こんな風になるよ。
・・・ま、俺の怪我なんてどうだっていい。むしろこれは勲章かな、うん。痛くなんてないよ。泣いてなんかないよ。

そしてその歯の奥にあるのが、当然舌だよね!これがまた赤くて可愛いんだ。
ちょっと短めの舌がね、べぇって出されたらもうこの小悪魔ちゃんめ!と言いたくなってしまう。
これはまだ言ってないよ。きっと言ったらもう一つ怪我することになるからね。
切りすぎた感のある短い前髪が、さらに彼の顔を幼く見えさせていて、良く似合うんだけど誘拐されないかなとかそんな心配を常々してしまう。

彼?あぁ、そうさ、あの子はつくものついてるれっきとした少年さ!
男で?少年?年下?犯罪?ははは、なんて愚かしい言葉だろう!
俺の愛の前にその程度のこと、何の抑止力にもならないさ。
愛は何にも勝るんだよ、当然だろ?そして俺の愛はこの世の誰よりも強い!
だから俺のこの想いは絶対なんだ。否定なんかさせないさ。



「だからそんな俺の愛しい恋人の家に泥棒に入ったお前なんて、この世から消えるべきだと思わないか?」


そう言ってガクガク震える泥棒男を全力で踏みつける臨也さんを見ながら僕は思った。


(こんな変態に出会うなんて、可哀そうな泥棒。あと誰が小悪魔だ、後で刺そう・・・)




今日は俺の恋人の話をする。

あいつはとにかく可愛い。可愛くて、優しい。たぶん菩薩だ。いや、天使か。うん、天使だな。
そのうち処女受胎でもして神様生むんじゃねぇかってぐらいには綺麗で可愛らしい。
褒めすぎか?んなわけねぇだろ。

まずは目だな。あの目。でっかくて、くりくりしてる。
それがパチンパチンって音が鳴りそうなぐらいに瞬きしてて、なんつーかずっと見てたいっていうか、見ててほしいっつーか。
んでほっぺたが柔らかくて、引っ張ったらめちゃくちゃ伸びる。
伸ばし過ぎると手ぇ叩かれて怒られるんだけど、涙目になってほっぺた押さえるあいつを見てたらまたやりたくなっちまう。
俺は別にサドじゃねぇぞ?あいつが可愛い反応するから悪いんだ。

口もちっちゃくて、必死に喋ってるときはパクパク動いてて、そこに何かつっこみたくなる。
エロい意味じゃねぇ。絶対にエロい意味じゃねぇ。誓って言う。
ほら、あくびしてる猫の口に何か噛ませてびっくりさせたいっていうのに似てる。
ペットみたいに可愛がりたいわけじゃねぇが、そういう小動物的な反応をあいつがするから、どうも色々やりたくなるんだ。

首も細くて、俺の手じゃひとつかみできる。
そのまま力入れたら死んじまうな、って考えたこともあるが、いややろうとしたことはない。絶対にない。
でも俺の手の中にこいつの命があるんだと思うと、なんかこう・・・幸せって言うか、嬉しいっつーか・・背筋がぞわぞわするんだ。
エロい意味じゃねぇ。大事だから何回も言うぞ、エロい意味じゃねぇ。

俺とあいつだと身長差が結構あるから、あいつが俺を見る時は大抵が上目遣いだ。
胸元でそうやって見られると、条件反射でぎゅうって抱きこんじまう。
俺は男だから胸も腕も固いし、こうすんの嫌じゃねぇかとか、やっぱ抱きつくなら女の方があいつもいいんじゃねぇかとか考えちまうが、それでもあいつが照れた顔で笑ってくれるから、俺もまた嬉しくなってやっぱり抱きしめてしまう。
だって仕方ねぇだろ、あいつ可愛すぎんだよ。

年下?んな細けーこと誰が気にすんだよ。俺も気にしたことねぇっての。
俺はあいつが好きで、あいつも俺が好きなら、そんなの大したことじゃねぇ。
だから俺はあいつが俺を好きだって笑ってくれるならなんだってしてやるし、全力で守ってやる。
それでなくても変なやつに絡まれやすいから、俺が敵は全部沈めてやらねぇとそのうち誘拐されそうだ。



「だからそんな俺の恋人をナンパしやがるてめぇは、ここで俺に殺されるべきだろ?」


そう言って僕をカツアゲしようと壁に押し付けていたその男の人を片手で宙に浮かせる静雄さんを見て僕は思った。


(静雄さん・・・僕、ナンパされてたわけじゃ、ありません)



『というわけで、俺の恋人に近づくお前はここで死ね』

全くぴったりなタイミングで異口同音に声に出した2人を見て、僕は重い、重い、ため息をついた。
デートの最中に出会ってしまった戦争の片割れ。
確実に殺し合いが始まるだろうなぁと、恋人からそっと離れれば、何が「というわけで」なのかは知らないが、ナイフと自販機飛び交う戦争の始まりだ。
仕事が忙しくてなかなか会えなくて、久しぶりのデートだというのにこのザマ。
うっかりとこの前会った、可哀そうな人たちの姿を思い出してしまった。
空き巣もカツアゲする不良も決して正しい存在ではないけど、こうやって恋人を放り出して戦争する恋人もいかがなものかと思う。ので、

ザシュッと、良い音がした。

「あ・・・」

と、僕の恋人の口から、思わずと言った声が漏れた。
逆にゆっくりとスローモーションのように倒れる人影。
僕はとてとてと恋人に近づくと、ぎゅむっとその広い胸に顔をうずめて抱きつく。
抱きつかれてわたわたと手を振り回して慌てる姿は、さっきまで戦争をしていた人とは思えないほどに可愛くて、

「ぎゅって、してください」

と言ったら、顔を真っ赤にしてそっと抱きしめてくれた。
それが嬉しくて、調子に乗った僕は胸元の顔を上げて「僕のこと好きですか?」と首を傾げてみる。
すると今まで見た中で一番嬉しそうな顔をして

「あぁ・・・愛してる」

そう言ってまた強く抱きしめてくれた恋人を全身で感じて僕は思った。


(ボールペン、回収しなきゃ・・・これで死んでくれないかな、臨也さん)

そして勝手に僕を恋人呼ばわりする馬鹿な行いを反省して、どこか遠くに行ってほしいなぁと、静雄さんに抱きしめられたまま僕は笑った。
作品名:恋人の話をしよう 作家名:ジグ