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たかむらゆきこ
たかむらゆきこ
novelistID. 9809
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だらだらブギウギ

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 気分的にだらだら。
 最近、いろんなことに気が乗らんのだ。

 目まぐるしく変わる季節。とゆーか気温。暑いのか寒いのかどっちかにしろと地球様に直談判したくなる。実際、ブチブチ呟く声は聞こえているのだろう、地球様には。いろんなことに気が乗らんとゆーことは、だ。俺の唯一の娯楽であるガールハント。これにも意欲が湧かん日々が続いてる。よって、ラムの電撃すら最近は浴びてない。
「んん?」
「あ?」
 どーしたっちゃ?自分の前をうろうろするラムは、小首を傾げてふわり浮いている。
「別に」
「別にって。なんかおかしーっちゃよ?ダーリン」
「俺のドコがオカシイっちゅーんじゃ」
「覇気がないっちゃ」
 女の子に声を掛ける回数も減ったし、しのぶや竜之介にも声を掛ける回数が少ないと、そう俺に訴えた。仮にも俺に惚れている女が、俺が別の女に声を掛けないから心配するなどと、自分のせいだが世も末か、そんなふうに感じる。
「・・・・・ラム・・・」
「なんだっちゃ?」
「最近陽気がおかしいと思わんか?」
「ヨウキ」
「暑かったり寒かったり。どーも乗り気になれんのだ」
「それはー、季節の変わりめだから仕方ないっちゃ」
「そんなことはわかっとるわい」
「んもー。なにが言いたいっちゃー?」
 頬を膨らますラムから目を逸らし、窓の向こうの夕暮れを見た。それでもラムの目は訝しげに俺を見ている。窓に映った互いの姿が、それを知らせいた。
「あ、ダーリン」
「なんじゃい」
「顔が赤いっちゃ」
「そら夕焼けのせいだろ」
 夕焼けが反射して自分の頬が赤く見えてるのだろう。窓に映ったラムの姿も自分の姿も赤く染まっているのだから。しかしふと、冷たい手が額に当たる。
「なんじゃい」
「やっぱり熱いっちゃ」
「熱い?」
「ダーリン風邪じゃないのけ?」

 熱を計ったら39度近くあったらしい。体温計を直に見たのはラムだったからよくわからないが、あぁ、確かに熱くて寒くてダルかった。
「なんで自分で気づかないっちゃ」
「風邪なんぞ引いたこたァない」
「うそばっか」
「けっ」
「もういいから寝るっちゃ」
 ポンポンと叩かれた布団、枕元には薬と水差し。本当に病人みたいではなかろうか。いや、病人なのだが。
「早く治すっちゃよ」
「治ったらガールハントじゃ」
「なんでもいいから、早くいつものダーリンに戻るっちゃ」
 だらだらなダーリンより、少し煩いくらいの方がいいっちゃ、壁に寄りかかってラムは言う。そして、どっちもダーリンには変わりないけど、と付け加えた。
「ラム」
「なんだっちゃ?」
「そばに寄んなよ」
「えー!なんでだっちゃー?」
「うつるだろーが」
 だらだらな具合で、だらだらな感じで。交わした言葉だった。
 だらだらの正体を風邪だと見抜いたラムは、いつもより優しいと、そんな風に思った。布団を頭からかぶりながら、今だったら俺も少しは素直に優しくなれるんじゃあないかと、そんな風にも思った。