【イナズマイレブン】 一土 本命カプお題ったーにて
えらこ には
『攻めが酔っ払って、受けが白衣を着たギャグかつぐちょぐちょな作品』と言うお題が出されました。
そんな一土
ある日、ユニコーンのメンバーはディランの提案で、バーベキューパーティを行っていた。
ディランは秘伝のBBQソースをわざわざライオコット島まで持ってきていたらしい。
どこから借りてきたのか、アメリカエリアの宿舎隣にはバーベキュー用のコンロがいくつも並んでいる。
それら全てに、BBQソースに漬けこんだ肉と野菜を交互に串に刺したものが並んでおり、いい焼き色をつけていた。
空腹は最高のスパイスともいう、とマークはあえて全特訓が終わった後に皆を誘い出し、パーティは開始。
練習でへとへとになったユニコーンの選手たちは、このサプライズに皆歓喜した。
「ヘイマーク! 焼き色はどんな感じだい?」
「バッチリだよディラン。それにとてもいい匂いだ。流石ディランの家のソースで漬けただけはあるな」
アメリカのバーベキューは、日本とは違い肉や野菜をそれぞれで焼くわけではなく、大きな串に刺して焼き、串ごと手にとって食べる方式だ。
それぞれがほどよく焼けた肉や野菜が刺さった串を手にとり、いただきます、というわけである。
「それほどでもないヨ。今はソースがあるときだけだけど、レシピはミーが大人になったら教えてくれるってマミーが言ってたから、近いうちにいつでもふるまえるようになるヨ!」
「それはよかった。俺はいつでもディランの作る料理を味わいたいからね」
「oh…マーク……」
皆が見ている前でもお構いなしのエースストライカーとスター選手。
「一之瀬、出来てるぞ?」
「ああ、ありがとう土門。久しぶりだなあこういうの」
「だね。日本じゃ機材がそろわなかったり習慣が違ったりでなかなかこういうの出来なかったからね」
「それにこのソースは逸品だぞ。こんな美味いソースでバーべキューするのは久々だ」
そう言って、土門はノンアルコールカクテルとおぼしき飲み物を一口。
パーティらしくこんな珍しい飲み物も用意してあるのだ。
もちろんノンアルコールなので子どもが飲んでも平気なのであるが……。
(少しだけリキュール入れるくらいいいよね……。大丈夫少しだし土門が酔ったらどうなるか見たいだけだし)
こんな不埒なことを考えているフィールドの魔術師様がユニコーンにはいらっしゃることを忘れてはならない。
手にしているのは甘いカシスリキュール。どこで手に入れたのかはまったくもって謎である。
一之瀬は土門と同じ飲み物を取っていたので、細心の注意を払って土門の方にだけそのリキュールを1滴、2滴と落とした。
元々がカシス味だったため、見た目には何の変化も見られない。しかし、土門が口をつけた方にだけ、酒の成分が混ざっている。
さあ、一之瀬の悪戯に、彼は気がつくのだろうか。
「あ、土門喉乾かない?」
「おおサンキュー。ちょうど欲しかったところだぜ」
仕掛けを施した犯人は、何食わぬ顔で土門に細工をした飲み物を渡した。
一気にそれを飲み干した土門に、心の中でガッツポーズを取る一之瀬。
これで、アルコールによって彼がどう変わるのか見られる。
期待に高鳴る胸。瞳を輝かせる。
「んー、このカクテル? っていうのか? うまいな」
「そうだね」
ん?
何の変化も見られない。
たったあれっぽっちでは色はおろか、匂いも変わらなかったというのか。
まだ残っている自分のものに鼻を近づけてすんすんと匂いを確かめる。
こちらは何も入れていないはずなので、何も変わりはないはず。
「どうした一之瀬。飲み物が変なのか?」
「あーいや、別にそんなんじゃないんだけどさ……」
ここで計画をばらしてしまうわけにはいかない。
とにもかくにも土門にも怪しまれているし、これ以上変な行動はとりたくない。
意を決して、一之瀬は自分の分を全て飲みきった。
「ぅ……ん……?」
飲んだ瞬間、本当に一瞬だけど、喉が焼けるように熱かった。
ジュースを飲んだだけではこんなふうにはならない。
「ん……?? 熱い……」
味も匂いも全く分からないようなリキュールにしたのが一番の間違いだった。
一之瀬は、土門のグラスに入れたと思っていたようだが、実際は土門が飲み干したグラスには入っていなかった。
間違えて自らのグラスに入れてしまったのだ。
一之瀬一哉一生の不覚である。
「おい大丈夫か一之瀬! 顔真っ赤だぞ?」
「ぇ……あ……」
ふらふらする足をどうにか支えて、大地を踏みしめる。
この役目は自分がやるはずだったのに……、と内心悔しがる。
「お前……顔赤いし、熱っぽいし……どうしたんだよ……? まさか、ノンアルコールだけど、カクテルで酔ったのか?」
「カクテル……?」
カクテル、それは自分が細工をしかけた飲み物の名前だ。
「ともかく部屋に連れていく。このままじゃらちが明かないしな」
***
ここは、どうやら一之瀬の夢の中である。
「もう気がついたのか? まだ寝ていていいのに」
「え……?」
ベッドから起き上がると、目の前にいたのはいつものチームメイト、土門。
ただし衣装が違うことに気がつく。
「なんで白衣……?」
「単なる雰囲気作り」
やけにあっさりした返事が、一之瀬が今見ている世界が現実じゃないことを教えてくれる。
そういえば、壁も、ベッドも、棚も、土門の白衣も、土門自身もなんだか白い。真っ白である。
触ろうとする一之瀬の手も白い。
誰に触れられてもいないのに、頭からつま先まで全てが温かい。
布団は冷たい。ベッドの上、しかも自分が触れている所だけ温かい。
温かい……?
***
うっすらと瞳を開けると、何もかもが白かった部屋ではなくなっていた。
ほんのり灯る肌色のあかりに、狭い浴槽。各部屋についている物だろうか。
目の前には土門の顔があった。
「う……俺、なんでこんなとこに……?」
「そりゃ、ぶっ倒れたら誰だって心配して部屋に戻すに決まってるだろ?」
「え……俺倒れた……の?」
「あーそうだよ。そのせいで俺パーティ途中退場だぜ。せっかくディランの美味いソース使ってたってのに!」
「でもなんでお風呂……」
「頭から冷たいシャワーでも浴びたら気がつくかなと思ったんだ。それだけ」
ことり。バスタブにリキュールの小瓶を置かれ、一之瀬は今までの事の成り行きを一気に思い出した。
自分が土門の飲み物にアルコールを少しだけ混ぜようとしたこと。
もくろみが外れて自らが飲む羽目になってしまったこと。
そしてあんな少量のアルコールで酔ってふらふらになってしまったこと。
「……! そういえば……」
「ようやく思い出したか。これに懲りたら二度とあんなことするんじゃないぞ?」
「うー……だって俺土門が酔ったらどうなるか見たかったんだ……」
「ばっかじゃねえの!? 大体酒は大人になってからだろうが、お前はそんな当たり前のことも忘れたのか?」
「ご、ごめん……」
「まあ、今回は反省したみたいだし、よしとするか。んじゃ俺は出とくから風呂上がったら戻ろうぜ」
『攻めが酔っ払って、受けが白衣を着たギャグかつぐちょぐちょな作品』と言うお題が出されました。
そんな一土
ある日、ユニコーンのメンバーはディランの提案で、バーベキューパーティを行っていた。
ディランは秘伝のBBQソースをわざわざライオコット島まで持ってきていたらしい。
どこから借りてきたのか、アメリカエリアの宿舎隣にはバーベキュー用のコンロがいくつも並んでいる。
それら全てに、BBQソースに漬けこんだ肉と野菜を交互に串に刺したものが並んでおり、いい焼き色をつけていた。
空腹は最高のスパイスともいう、とマークはあえて全特訓が終わった後に皆を誘い出し、パーティは開始。
練習でへとへとになったユニコーンの選手たちは、このサプライズに皆歓喜した。
「ヘイマーク! 焼き色はどんな感じだい?」
「バッチリだよディラン。それにとてもいい匂いだ。流石ディランの家のソースで漬けただけはあるな」
アメリカのバーベキューは、日本とは違い肉や野菜をそれぞれで焼くわけではなく、大きな串に刺して焼き、串ごと手にとって食べる方式だ。
それぞれがほどよく焼けた肉や野菜が刺さった串を手にとり、いただきます、というわけである。
「それほどでもないヨ。今はソースがあるときだけだけど、レシピはミーが大人になったら教えてくれるってマミーが言ってたから、近いうちにいつでもふるまえるようになるヨ!」
「それはよかった。俺はいつでもディランの作る料理を味わいたいからね」
「oh…マーク……」
皆が見ている前でもお構いなしのエースストライカーとスター選手。
「一之瀬、出来てるぞ?」
「ああ、ありがとう土門。久しぶりだなあこういうの」
「だね。日本じゃ機材がそろわなかったり習慣が違ったりでなかなかこういうの出来なかったからね」
「それにこのソースは逸品だぞ。こんな美味いソースでバーべキューするのは久々だ」
そう言って、土門はノンアルコールカクテルとおぼしき飲み物を一口。
パーティらしくこんな珍しい飲み物も用意してあるのだ。
もちろんノンアルコールなので子どもが飲んでも平気なのであるが……。
(少しだけリキュール入れるくらいいいよね……。大丈夫少しだし土門が酔ったらどうなるか見たいだけだし)
こんな不埒なことを考えているフィールドの魔術師様がユニコーンにはいらっしゃることを忘れてはならない。
手にしているのは甘いカシスリキュール。どこで手に入れたのかはまったくもって謎である。
一之瀬は土門と同じ飲み物を取っていたので、細心の注意を払って土門の方にだけそのリキュールを1滴、2滴と落とした。
元々がカシス味だったため、見た目には何の変化も見られない。しかし、土門が口をつけた方にだけ、酒の成分が混ざっている。
さあ、一之瀬の悪戯に、彼は気がつくのだろうか。
「あ、土門喉乾かない?」
「おおサンキュー。ちょうど欲しかったところだぜ」
仕掛けを施した犯人は、何食わぬ顔で土門に細工をした飲み物を渡した。
一気にそれを飲み干した土門に、心の中でガッツポーズを取る一之瀬。
これで、アルコールによって彼がどう変わるのか見られる。
期待に高鳴る胸。瞳を輝かせる。
「んー、このカクテル? っていうのか? うまいな」
「そうだね」
ん?
何の変化も見られない。
たったあれっぽっちでは色はおろか、匂いも変わらなかったというのか。
まだ残っている自分のものに鼻を近づけてすんすんと匂いを確かめる。
こちらは何も入れていないはずなので、何も変わりはないはず。
「どうした一之瀬。飲み物が変なのか?」
「あーいや、別にそんなんじゃないんだけどさ……」
ここで計画をばらしてしまうわけにはいかない。
とにもかくにも土門にも怪しまれているし、これ以上変な行動はとりたくない。
意を決して、一之瀬は自分の分を全て飲みきった。
「ぅ……ん……?」
飲んだ瞬間、本当に一瞬だけど、喉が焼けるように熱かった。
ジュースを飲んだだけではこんなふうにはならない。
「ん……?? 熱い……」
味も匂いも全く分からないようなリキュールにしたのが一番の間違いだった。
一之瀬は、土門のグラスに入れたと思っていたようだが、実際は土門が飲み干したグラスには入っていなかった。
間違えて自らのグラスに入れてしまったのだ。
一之瀬一哉一生の不覚である。
「おい大丈夫か一之瀬! 顔真っ赤だぞ?」
「ぇ……あ……」
ふらふらする足をどうにか支えて、大地を踏みしめる。
この役目は自分がやるはずだったのに……、と内心悔しがる。
「お前……顔赤いし、熱っぽいし……どうしたんだよ……? まさか、ノンアルコールだけど、カクテルで酔ったのか?」
「カクテル……?」
カクテル、それは自分が細工をしかけた飲み物の名前だ。
「ともかく部屋に連れていく。このままじゃらちが明かないしな」
***
ここは、どうやら一之瀬の夢の中である。
「もう気がついたのか? まだ寝ていていいのに」
「え……?」
ベッドから起き上がると、目の前にいたのはいつものチームメイト、土門。
ただし衣装が違うことに気がつく。
「なんで白衣……?」
「単なる雰囲気作り」
やけにあっさりした返事が、一之瀬が今見ている世界が現実じゃないことを教えてくれる。
そういえば、壁も、ベッドも、棚も、土門の白衣も、土門自身もなんだか白い。真っ白である。
触ろうとする一之瀬の手も白い。
誰に触れられてもいないのに、頭からつま先まで全てが温かい。
布団は冷たい。ベッドの上、しかも自分が触れている所だけ温かい。
温かい……?
***
うっすらと瞳を開けると、何もかもが白かった部屋ではなくなっていた。
ほんのり灯る肌色のあかりに、狭い浴槽。各部屋についている物だろうか。
目の前には土門の顔があった。
「う……俺、なんでこんなとこに……?」
「そりゃ、ぶっ倒れたら誰だって心配して部屋に戻すに決まってるだろ?」
「え……俺倒れた……の?」
「あーそうだよ。そのせいで俺パーティ途中退場だぜ。せっかくディランの美味いソース使ってたってのに!」
「でもなんでお風呂……」
「頭から冷たいシャワーでも浴びたら気がつくかなと思ったんだ。それだけ」
ことり。バスタブにリキュールの小瓶を置かれ、一之瀬は今までの事の成り行きを一気に思い出した。
自分が土門の飲み物にアルコールを少しだけ混ぜようとしたこと。
もくろみが外れて自らが飲む羽目になってしまったこと。
そしてあんな少量のアルコールで酔ってふらふらになってしまったこと。
「……! そういえば……」
「ようやく思い出したか。これに懲りたら二度とあんなことするんじゃないぞ?」
「うー……だって俺土門が酔ったらどうなるか見たかったんだ……」
「ばっかじゃねえの!? 大体酒は大人になってからだろうが、お前はそんな当たり前のことも忘れたのか?」
「ご、ごめん……」
「まあ、今回は反省したみたいだし、よしとするか。んじゃ俺は出とくから風呂上がったら戻ろうぜ」
作品名:【イナズマイレブン】 一土 本命カプお題ったーにて 作家名:えらこ@ついった