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鳩尾の影

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いつか、その暗がりに、目を凝らして。



    鳩尾の影



「みぞおち、って漢字で鳩の尾って書く」
つながっている箇所からずっと上。
隙間に差し込まれた手が、そこを撫でる。
「ここに決まると、意識飛ぶんだよな」
「なんで、鳩?」
ですか。
敬語省略。
あまり、長文しゃべれない。
そんな場合じゃ、ない。
でも、しゃべってないと、それこそ意識が飛びそうになる。
「なんでだろ。知らね。ヴァローナに聞いたらいいんじゃね」
聞けるか、と思った。
別に、ふつうに教えてくれるだろうけど。
みぞおち。
今の体勢で、自分では見られない。
起き上ったら見える、けど。
余計なもんまで見えてしまう。
余計っていうか。
心持ち、顎を引いてその暗がりへと首を傾ける。
「見る?」
悪戯っぽい笑みを浮かべて、トムさんが言う。
「み、ません」
「そ。じゃ、動いてもいい?」
「あ、」
ぐ、と鳩尾のずっと下。
のような、すぐ下、みたいな。
内側からの、圧迫。
刺激が、鳩尾を経由して脳に来る。
しびれる。
「ふ、あ、あ」
たぶん、この先、鳩尾って言葉聞いたらこの時を思い出す。
だから、だれにも聞けない。
「や、待っ…トムさっ」
「いやもう無理」
待ちません、とトムさんが言う。
いつもの余裕の、少しなくなった顔。
俺の、好きな。

…広辞苑とか、載ってるかな。




作品名:鳩尾の影 作家名:かなや