エーデルワイス
生き残るために、強さを求めていた我輩。
あの時は、確かにあいつと生きようと思った。
だから、あいつに手をのばした。
………その手は…ずっと繋いでおくべきだったのに…。
強くて、私に生きるすべを教えてくれたあなた。
1人では戦うこと…、生きるとも危うかった私。
あの時、確かにあなたを追って生きていたいと思いました。
だから、差し伸べてくれた手がとても嬉しかったのです。
………その手は…いつまでもあるなんて…信じてしまっていたなんて…。
「また…プロイセンと戦うだと…?」
離れてからも、気になってしまうあいつのニュース。
いつからだろう?あいつが戦うことを覚えたのは?
どれくらいたつだろう?あいつが我輩と手を取らなくなったのは?
いつからだろう…?あいつが“戦うため”に生まれてきた国となってしまったのは…?
「お前のその手には…武器は似合わない…。
その指は…繊細な音楽を生み出すためにあるのではないのか…?」
1つ山を越えれば届く、その想い。
この想いすら…山を越える理由にはならない。
「本当にあいつはお馬鹿…。…それは…我輩もか…」
「さて…いよいよ出陣ですね…」
こんなときに想うのは…私に戦いを教えてくれた、誰よりも大切だったあなた。
いつからでしょう?あなたが戦うことを教えてくれたのは?
どのくらいたつでしょう?あなたの手を取らずに生きると決めてから。
いつからでしょう…?あなたと“戦う”と“中立”全く別の道を選んでから…?
「貴方が共に戦ってくれたら…絶対に負けたりしないんですけどね…。」
1つ山を越えれば届く、その想い。
その想いを胸に…彼は山とは逆へと進んでいく。
「本当に私は…お馬鹿さんなんでしょうね…。」
二人を遮る高い山。
そこに美しく咲くは『エーデルワイス』。
花言葉は『尊い思い出』。
彼らを捉えて離さない…真っ白な美しい花。