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秘密

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「菊…お前は今日から女の『桜』として生きるある。」

「?やおさんなぜですか?」

「菊は…ずっと我と一緒に居たいあるか?」

「はい!やおさんにいろいろおしえていただきたいです!」

「…そのために必要なことある。世の中を上手く渡っていくには…『女』の力も必要あるよ。」

「…よくわかりません……。」

「何があっても、2人が…そして亜細亜が生き残るためある。
 我たちが幸せに暮らせる亜細亜を作るためある。わかったあるな?」

「なぜか納得いきませんが…わかりました。」

「さすがは我の自慢の弟ある!いいあるか?これから様々な国に出会うある。
   でも…我以外に本当の性をに見せてはダメあるよ?」

「はい。」

「そうある…」「私達のための…」

『亜細亜帝国建国のために(ある)…。』





「全く…今日はやけにおせーある…。」

朱を基調とした豪華な屋敷の一室

大きなあくびをし、1人、王耀は呟いた。

「あ〜暇あるー。暇あるー。早く帰ってくるよろしー!」

まるで駄々をこねる子供のように、転がりまわりそうになったとき…

「くすくす…随分とお待たせしてしまった様ですね。」

室内に響き渡る上品な笑い声と待ちわびた人物の声。

この屋敷に入ることを許されているのは、耀本人を除いて1人だけ。

「耀様。本田桜、本日の報告に参りました。」

桜を基調とした柄の、東国の民族衣装を着た少女が愛らしく微笑んだ。

「今日は特に遅いじゃねーあるか?…何かあったあるか?」

「少し…アルフレッドさんとアーサーさんに捕まってしまいまして…」

「仕事の話あるか?」

「いぇ…食事に誘われたのです。」

途端、耀の機嫌はあからさまに悪くなり、部屋の空気もぴりりと凍りつく。

「ふふふ…もちろんお断りしましたよ?」

その雰囲気すら楽しむかのように、控えめに笑う。

そんな少女の言動に呆れるかのように…耀は深いため息をついた。

「全くお前は…我すらもからかうようになたるか…?」

「敵を欺くにはまず見方からと…」

ふふっ…少女は軽く笑い今までとは異なり低い声色で…答えた。

「……素が出てるあるよ菊。それに我は『本田桜』に入室を許可した覚えはねーある。
 我が許可したのは、我の弟である『菊』だけあるよ?」

「そんな…耀様…ひどいです…」

「菊、いい加減すするよろし。早く本当のお前が見てーあるよ。」

「…本当に貴方にはかないませんね。」

「伊達にお前の兄貴やってねーあるよ。しかし…食事に誘ってくるようじゃ…まだばれてない様あるな。」

「えぇ、おかげ様で。では着替えてきますね。」

「あぁ、早く戻るよろし。」


あの誓いからどれくらいたっただろうか?

菊は容姿のせいもあり、女の姿をしても違和感が全くない。

そのため、今までどの国すら『桜』が男だと気付いていない。

そう…王耀を除いては…。

「アルフレッドもアーサーも落ちたか…。ふふふ、もうちょっとあるね。」

2人が目指す『亜細亜帝国』の建国は間近に迫っているのかもしれない。



作品名:秘密 作家名:雪夏