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萌えと限界

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※現パロ



まだ暑さの厳しい夏休み後半。
課題をすべて終わらせてベッドに寝そべり読みかけていた本の文字を追っていた三成は、不意に背筋に走った悪寒に飛び起きて辺りを見回した。
確か、居間では長曾我部、真田、家康が課題が終わらないとぎゃあぎゃあ騒いでいたはずなのに、嫌に静かだ。

「…まさか奴等寝てるのか?」
冷房をガンガンに効かせた部屋だ。元より勉強嫌いな三馬鹿にとっての楽園にもなりえる部屋に置き去りにしてきてしまった自分にも多少の非が有る、と部屋の扉を開けた。のが間違いだった。

「だからぁ、ワシは三成は狐だと思うんだ」
「馬鹿野郎、三成はプライドたっけー血統書つきの猫だろ」
「某は三成殿は番犬だと思いまする」

ペンはすでに三人の手を離れノートを転がっている。しかもそのノートは真っ白だ。

「…貴様ら、何をしている」
「あ、三成!」
「いや、お前よく家康のこと狸とか言うからよ、じゃあ三成は何だろうって話になったんだ」
「いや、勉強をしろ課題をしろ夏休みはあと一週間だぞ」
「某、三桁以上の計算は苦手でござる!!」
「真田貴様は小学校からやり直せ」
「で、三成はやっぱり狐だろう」
「いーや、猫だね」
「犬でござる!」
「……貴様らこの場で斬滅されたいか?」
「ほら、三成。この狐耳カチューシャでも着けてみれば良いんじゃないかワシはそれを熱望する」
「消えろくされ狸」
「いややっぱ猫耳だろ」
「尻尾も忘れては駄目でござろう、お二方」
「まとめて不燃ゴミに出すぞ」
「だが生きる!」
「黙れ狸」
「ほらほら、早くつけろよみっちゃーん」
「死ね乳首が」
「酷いっ!!」
「某はっ、某は…」
「そわそわするなこの馬鹿二人に影響されるな貴様」
「何だよ、普段ツンツンなお前に一つでも萌えアクセサリーをつければ皆優しくなるんじゃねぇかって思ったこのアニキ心を「全力で否定する」…」
「…三成ぃぃぃぃ」
「煩い。大体貴様ら狐耳やら猫耳やらそんなものはアクセサリーではない!」
「…アクセサリーでは、ない…だと?」
「な、なんだ家康」
「そうだよな耳はカチューシャでつけるとか邪道だよな直に生えてないと萌えとは言わないんだ獣耳直に生えてる三成ハァハァ三成愛おしいぞ三成ぃいぃぃぃぃ!!!!!!!!!」
「気持ち悪い!!!!!!!!!!!!!!!!」
「もふもふの尻尾も生やしてくれて良いぞむしろ是非生やしてくれそこが性感帯なんだろうもふもふしてアンアン鳴かせてやるから安心して嫁に来てくれ三成ぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!!!!!!」
「貴様…暑さで頭が沸いたかくそ狸ぃぃぃぃぃ!!!!!!!!!!死ね!!滅びろ跡形もなく消え去れ存在ごと抹消されろ家康ゥゥゥウウウウウウウ!!!!!!!」

「ちょうそかべ殿、このふにゃっとした記号は何でござるか」
「んぁ、ルーイだかルートだかそんな名前だった気がする」
「何故矢印が数字に付いているのでござろう」
「それはー、ベークドだかベクトルってな名前だった気がする」
「流石!ちょうそかべ殿は博識でござるな!!」
「まぁな!!」
「貴様ら一から全部やり直せぇぇぇぇええええええ!!!」
「三成ーお稲荷さんハァハァ巫女さんでも良い、手を打つぞワシはぁぁぁぁあああ!!!!!!!!!!!!!」
「死ねぇぇぇぇぇええぇぇぇえええ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」








―――――
気持ち悪い権現様とどん引き凶王が書きたかったんです。
作品名:萌えと限界 作家名:柚木すい