真実をえた子供
それを、恐怖ではなく幸福として新羅は受け止めた。セルティにより生を果たした新羅がそうすることは、至極当然の流れであり、その日から新羅の全てはセルティを基盤に回り始めた。
セルティという存在が、新羅を構築していく。彼女は、細胞であり血肉であり魂であった。新羅はセルティを愛する為に、セルティに愛される為に、生きているのだ。
恍惚と誇らしく感じ入る。
セルティがいなければ呼吸すらままならない、そんな生き物であるべきなのだ。新羅は。
美しい、新羅の女神。セルティ。名を呼ぶ、それすら特別で崇高な行為であるのだと、高らかに全世界に知らしめてしまいたい。けれど、新羅以外は誰も、その泣きたくなるほどの素晴らしさを知る必要はない。
圧倒的で独善的で支配的で偏執的な、愛だった。頭のてっぺんから足の先までくまなく、新羅にはそんな愛が詰まっている。そんな新羅が一日と欠かさずセルティに囁く愛は、血液のように肉体を循環して途絶えることを知らない。
新羅が生きている限り、正しく不滅の想いであるのだ。
どれほどの言葉を並べても、何度態度で示しても、まだ足りない。
新羅は生きている。そうであるから、セルティへの愛で生まれた新羅が愛を枯渇する日は、永遠に来ない。死という有限の中の儚い永遠であったとしても、だ。