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初めてのキスはどんな味?を検証するアラジョ

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初めてのキスはどんな味?を検証するアラジョ


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「なあ、アラウディ」

 死ぬ気の炎を額に燈していない時のジョットの表情は意外と稚い。
 彼と出会ってから片手の指で足りるほどしか年月は経っていないし邂逅すらも稀だが、その印象はずっと変わらないとアラウディは思っている。だが差し込む陽光に煌めく金糸の向こうで、その印象を強くしているだろう金瞳をきらきらと輝かせているのを見てとったアラウディはとても嫌な予感がした。彼のような超直感など持ち合わせていないが、職業上で磨かれた勘が「こいつろくなこといわねーよ」と知らしめてきている。

「…………なに」

 それでも律儀に返答してやれば、漸く青年と呼べる年になったかつての子供は、にこりと笑って言った。やはり笑顔も幼さを残している。アラウディは無表情の奥で聞くんじゃなかったとジョットの言葉を聞いて後悔した。

「はじめてのキスはレモンの味がすると聞いたのだ。だがGは『馬鹿だろお前』というしスペードは『直前までレモン水を飲んでいたのでは』とか夢のないことを言うのだぞ?だから他の皆にも聞いてみたんだが」
「聞いたの」
「ああ」

 こくりと頷く小さな頭をぶん殴ってやりたかったと後にアラウディは語る。
 そんな少女のような与太話を聞いて回るな!と叱ったアラウディに、だって、とジョットは唇を尖らせて言う。そんな顔すら愛らしく見せてしまう、後世ボンゴレ一世と呼ばれるようになる青年は知らないから、とあっさり言った。
…………なんだって?

「はぁ?」
「経験がないものは知らん」
「…………君ね、」

 エヘンとばかりに胸を張った彼に、アラウディは額を押さえた。
 そりゃあ、そういうものは個々の勝手だ。経験しようがしまいが他人のことである。しかしそれを明言するか?かつてより拡大してきているボンゴレを率いる彼が?

「あまりそういうことはトップが言いふらすものじゃない」
「? 何故だ」

 そう本気で言うのだから堪らない。
 そもそもどうして自分がこんなことを諭さねばならないのだ。不条理だろう。こんなことは幼馴染だという赤髪の男がすべきことの筈だ…………無理だとアラウディの意識が即否定したが。あの男はジョットに対しておかしな所で放任主義なのだから。

「…………もういいよ」
「おかしなやつだな」

 お前が言うな。だから何故だ。

「で、折角だからアラウディの話も聞かせてくれ。どうだったのだ?」

 だから聞くな。いいじゃないかここまで話したのだし。それは君が馬鹿なことまで…云々。
 第三者(特にG)がいたのならお前らがアホだと一刀両断しそうな言い合いが続いて暫し、死ぬ気の炎と一緒に冷静さを置いてきてしまったジョットが先に切れた。そもそも普段の彼は感情的な性格でもあったので。

「あーだこーだと言い訳ばかりだな!つまりアラウディもしたことがないんだろう!」

 どうしてそうなる!見栄をはるな!

 やっぱりGがいたなら馬鹿だと断定されそうな、子供の言い合いが再び室内を賑わす。言い忘れていたけれど、アラウディと会うために人払いした教会での会話である。不謹慎というべきか、馬鹿馬鹿しいというべきか。

「だったら」

 普段なら被膜を震わすように、ジンと耳の奥底まで響くような声色が、今は低められて凄味を増している。
 ぞくりとした震えを覚えたジョットが身を引くより早く、うつくしい形をした手指が青年の胸倉をつかみ上げた。体が浮くほど引きずられマントの裾が翻る。

「アラウディ…っ」

 アイスブルーの双眸も烈火の如く煌めいて、色を増していた。きれいだ、と一瞬状況も忘れて見惚れる。

「教えてあげるから自分で知りな」

 え、と聞き返そうとした言葉を柔らかな熱に遮られて、すべての疑問は行動によって示された。
 


+ + + + + + +



 G… はじめてのきすはあまずっぱいからレモンの味といわれるのだな…

 …………?! 

 もしかしたらオレはアラウディのことがすきなのかもしれん

 …………ハァ?!!!!!!

 とりあえずアイツを落とすにはどうしたらいいと思う?

 ―――ッ 知るかァ―――!!!!




無理やりend!