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憧憬に煌く 赤の 赤(おまけ)

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出て行くのなら十年分を置いていけ、と妙なことを言われたのは、あの娘の見送りの帰り道。
そんな面倒くさいことやってられるか、と言えば、早速連れ出された。
天を支えるといわれている高山の氷河湖。
ちょっとそこまで、と言えるような距離じゃないそれを、あいつはちょっとそこまで、とオレを連れ出した。
(その尺度はこの国のそれには当てはまるらしいが。)
その湖畔には、二匹の妖怪がいて。
背の高い方が『蔵馬に土産だ話ができた!』とやけにはしゃいでいた。
氷河湖の水位調査とその保持を、この妖怪と組んでやっているという。
水位をはかり、水面を僅かに凍らせたり、風を山間に吹かせたり。
もう少し水を塞き止める氷が欲しいからと、いくつかの氷柱を撃ち、倒壊させることを命じられた。
その時に、角度がどうとか被害がどうとか必要量がどうとか。
そこまで言葉が喋れたのか、と妙な関心をするほどにあいつはいろんな注文をつけてきて。
やはりこの十年で様々に変わったことを思い知らされた。
二匹の妖怪は、去り際にあいつのことを頼むとやたらに頼んできた(とくにでかい方)。
こいつらはお前の母親か、と呻けば、背の低い方が頷いた。
確かに、頷いた。
この前言っていた戦隊の赤いヤツみたいだな、と背の高い方のことを言えば。
そう言われれば、と笑った。
「刃霧も赤色似合うよね。ボクの中じゃ、刃霧のイメージは赤なんだ」
ボクは原色は似合わないから羨ましいと、その前後の余計な言葉まで思い出していたオレにあいつは言った。
赤はどんな色なんだ、と問おうとして、やめた。
そんなことに、意味はない。
ただいつか。
こいつにがいう「胸を張って幸せに」の意味がわかればいいと、思ったのは確かだ。