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白昼夢は蕩けない

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偶然ぽっかりと予定もなく重なった連休があり恋人に誘われて、といった中身のない経緯で新宿にある臨也さんの住居に泊まった。
残念にも断続的な止まない雨で出掛けられなかったのだが、妙にどことなく浮き立っていたのは気のせいでないのを差し引いても、此方の反応に面白がっての殆ど悪戯のような接触が多くて困惑させられる時間を、穏やかな怠惰と同伴しつつ過ごす。

すると脈絡なく膝枕から立ち上がった臨也さんが、おもむろに部屋に鎮座していた冷蔵庫の扉を開閉した。取り出したのは曇りなく白い長方形の紙質の上品な箱である。そのままの足で今度は収納スペースから目にまばゆい白く縦長のこれまた高価そうな箱。更に宅配便がチャイムを鳴らしていそいそと受け取り戻って来た腕に抱えるのは、清楚な白い沢山の花々で束ねられていかにも特別な機会に居場所のある花束。とどめとばかりにポケットから真珠を思わせる白さの手の平に乗るサイズでの形状の珍しい、緩やかな丸みを特徴にした造りの丁寧な箱。
思考回路がいつになく捻れているのかもしれない。被害が自分一人に集中してきそうで、よく当たる勘が反応するも手遅れそうなので毒を皿まで食す決心を固める。
此方に向けた表情は晴れ晴れとしながらも、微々たるものだがほんのり緊張しているようで疑問が生まれる。どうしてしまったんだか。しかしていざ白魚のような指が箱の蓋が開けられた。お淑やかに納まっていたのは、白いケーキとベールと仕上げに指輪。テーブルに載せられたのは此等と併せて先程の花束である。
ここまできてようやく、梅雨といえばに思い当たった。

お約束が好きですね、それにしても本物を揃えてしまうのが臨時也さんたる処です。
頭前半だけ少し揺らいでしまった声を押し出す。
無造作にテーブル上へと置かれているだけなのに、擬似でいて見届ける人も居らずそれらしい場でもないのに、震えた指を震える指に捉えられ指輪をはめられ殺し文句を進呈されたのなら仕方ない。


その可愛らしい広い額と童顔に誓います。
恋人らしい、これでも最大限に誠実な誓いの言葉。

二割程度は、子供のままごとを卒業した臨也さんなりの照れ隠しなのかもしれない。
作品名:白昼夢は蕩けない 作家名:じゃく