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トランバンの騎士

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 エプサイランは『皆』と答えたが、正確には3名ほど呼んではいない。イオタはしゃべれなかったし、デルタは『母親』というものに強い不信感を持っている。アルプハが呼ばないのは、他の子どもに比べて年齢が高いためだ。今更できた『ママ』に対し、憧れよりも照れが先に来て呼べていない。が、そう遠くないうちに結局は『皆』『ママ』と呼び始めるだろう。そうエプサイランは確信していたため、『皆呼んでいる』と答えた。
「では、なぜあんなに怒っているんだ?」
 少女二人の答えに、イグラシオは首を傾げる。ますます佳乃が突然怒り出した理由が解らなかった。
「ん〜、わかんない」
「でも、ミューを抱く時だけだよ。佳乃ママが嫌がるの」
「ミュー、すぐにママのおっぱいに吸い付くから」
 佳乃も言っていた言葉に、イグラシオは眉をひそめる。
 赤ん坊が母親の胸に吸い付くのは、当たり前の行動だ。そうしなければ、食事が取れないのだから。
 そして、佳乃は女性であり、出自が未だに不明なため、子持ちかどうかは解らない――とはいえ、あの反応から察するに既婚者でも子持ちでもないことは確実だろう――が、いつかは母親になる存在だ。いずれは我が子に母乳を与える存在が、預かった子どもとはいえ胸に吸いつかれるのは嫌とは、どういうことだろうか? と考える。
 年頃でも女性でもないイグラシオには、佳乃の恥らう理由が理解できなかった。
作品名:トランバンの騎士 作家名:なしえ