微睡んだセンテンス
今では秘密を持たない秘密を持つ部員や秘密を共有する部員、秘密を秘密しにしてる部員などが雑多に在籍するものの、共通点により生じた一種の連帯感が安堵をもたらすのだろう。至極当たり前に、時間が空いたのならぽつりぽつりとくつろぎに訪れる。
だからこそ此処は同類は同類を引き寄せる共通の集まり、名称、秘密倶楽部。
あのこは大抵は好ましいもの、つまりは日常から離れた心躍る分類として受け入れる。相手方も歓迎を甘受する。例え両腕を広げ喜色の笑みで迎えることの出来ないものだろうが必ず好む好まずに関連なく、恋人は秘密を呼ぶ体質である。
それは正に純愛のように操が清いままのお付き合いのよう。嫉妬するのが愚かに感じるのだがやってられない。
秘密と恋人が惹かれ合いしかるべくして出逢った、時間に取り残されたような空き部屋を愛の巣にしようと提案した筈が、秘密という名の恋敵は同類を召喚という妨害をしては、あのこから離れる気は更々ないらしい。あのこは俺のものなのに、世は何処かおかしい。まさか自分に全て都合のいいように出来ているなどの傲慢さを持ち得てはいない筈だが、歯車は狂っているのかもしれない。猪口才な。
責める意の尖った問いを吐き出していた唇を、相手の柔いそれで塞がれた。初々しい動きの蜜味の舌が、蛇舌を一舐め。
恋愛とは、秘密で続くと何処かで聴きました。
そんなものにさえ縋りたいと訴えられるも結局は、奴との純愛なお付き合いを継続している訳だから、恋人の言葉よりも己にとって生涯の敵である秘め事の方が余程大事なのだ。そう、それこそ骨の髄まで。
無念だが傍から客観視すれば、邪魔者に近いのは自分の方であろう。しかして所詮いい人で終わるくらいなら、悪役として攫ってみせることを選び取る。
攫われる準備、しててよね。惚れ直すまでに華麗に奪い返してみせるから。