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とある夜のベッドの一幕

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「……なんでオレが突っ込まれてんだろうなぁ…」
ベッドの上で一糸すら纏わず。そんな状況下で鋼のがぼそりと吐き出した言葉がこれだった。先ほどまで私の腕の中で気持ちよさげに盛大に、甘い声で喘ぎ続けて腰まで震わせていたくせに。少々訝しげに、私はその呟きに応じてみる。
「君……、まさかとは思うが突っ込まれるよりも突っ込む方がよかったのかね?」
それは絶対に却下だと私は言いたい。確かに鋼のは大人しく組み敷かれるような性格ではない。以前の話ではあるが、ヒューズの敵と相対した時に私が本気で道を踏み外しかけ、そうして何も見えなくなって、「その右腕ごとを焼くぞ!」と睨んだことがあった。そんな時にも「上等だガチで勝負」などと一歩も引かなかったくらいなのだ。非常に男らしいというか男前だった。ああいや、過去形で語るのはおかしいか。綺麗で可愛らしくて誰もが振り返るような美人に成長した今でも凛々しく且つ雄々しかったりもするのだが。暴風雨にも真っ向勝負を挑むような性格のこの恋人が、この状況下でこの発言。何か文句や問題でもあるのかね?
「あー……、そーゆーんじゃねえんだけど」
「では何かね?まさかよくなかったとか言うのではあるまいな」
めくるめく寝台遊戯を繰り広げ、そして吐き出した後未だ我々の身体は繋がったままだ。このまま第二ラウンドに持ち越したい。だが、気持ちがよかったのは突っ込み継続中の私だけか?……いやそれはあるまい。あるまいと、信じたい。
「や、それも違う。あのさ、エッチしちまった後ってなんかこー、妙におかしくねえ?」
ううむ、おかしいとはどういうことだ。ないとは思うが、その、だ。気持ちが良いのは私だけで、鋼のはそうでもなかったとか言うのであれば、その、だ。男としての自信を無くしそうになるのだが。……いや、それはあるまい。色事は得意分野だ。そのはずだ、と思うのだが。しかし……。ああ、ひやりとしたものが背筋を伝う。おかしいとはこれは一体どういうことだ。実に笑えん話だぞ!
「……何が、だね?」
疑心暗鬼にかられつつも聞かざるを得ないのだ。おかしいとは一体どういうこときっぱりはっきりさせたまえ!
「ふと我に返るっていうかさ……。なんでオレこーんな格好してあんな発情期の猫みてえな声まで上げてアンタにしがみ付いてるんだろうなあって思ったらなんかおかしくてさ」
「おかしくなんかないとも。愛し合っている者がする当然の行為だろう」
憮然と答えればくすくすという笑い声を立てながら鋼のが私の頬へと手を伸ばす。
「そう不機嫌になるなよ大佐。あのな、おかしいなって思ってもアンタが欲しいって思っちまうくらいオレはアンタに惚れてるってそういう話だぜ?」
……本当に君は男前だ。苦笑を一つ落として私は鋼のを抱きしめる。末恐ろしいというか天然というか。この私をこんなにも振り回すのだから君は実に大物だね。
「……私もね、君が欲しいしこれ以上も無いくらいに惚れているよ」
そりゃ当然、と笑う鋼のに苦笑しつつも惚れ直した、
とある夜の一幕の話。



‐ 終 ‐



作品名:とある夜のベッドの一幕 作家名:ノリヲ