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島原騒動

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「なあ、佐之さん」





何時も通りの朝の風景。







幹部の朝餉には副長の土方を始め沖田、斉藤、藤堂、原田、永倉が在った。






だがそこに一人姿がない者がいた。





「なんで千鶴いないの?」






「俺に聞くなよ。でも、そういや昨日から姿見てねぇな」









「僕もそう云えば千鶴ちゃん見てないよ。折角面白い事思い付いたのに」








にやっと不適な笑みを浮かべる沖田。







「新八さんは千鶴見た?」






「いんや、見てないな」






「一君は?」




「見ていない」




朝餉の席が一瞬にして鎮まり変える。






全員の視線が土方へと注がれた。






「・・・・・・」







土方は暫くその視線を無視して食を進めていたが。








「ってめえら、なんだよ。俺は知らんぞ」






箸を膳に音がする位に置くと、全員を睨み付けた。






「とうとう千鶴ちゃん脱走したのかな」








沖田がやる気無さげに云うと藤堂の反感を買う。






「だって、部屋にもいない見たいだしさ」








「千鶴は黙っていなくなる奴じゃない!」






「脱走する人間は黙っていなくなると思うけど、普通は」








「平助も総司もその辺で止めとけって」






原田が仲裁に入り取り敢えずは治まった。








「副長・・・」





斉藤が土方を促す。





「俺も良く聞かされていないが、千鶴は近藤さんの計らいで知り合いに預けられてる。何でもずっとこの男所帯の生活も息が詰まるだろうって事らしいが」







ふ~んと言った様にそれぞれ納得はした様に見えたが、何処か腑に落ちない。










「そんな事より、さっさと飯をすませ」







土方の一言で一斉に又朝餉が再開した。








作品名:島原騒動 作家名:桜月