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例外、つまりは唯一の

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『鷹臣くん、鷹臣くん!』
記憶の中の小さな子どもが、高くのびる声で無邪気に名を呼ぶ。
どんなに手酷く扱おうと、真冬はこりることなく鷹臣に寄ってきた。産まれてすぐの雛が初めて眼にした存在を親と思い込みついて回るように、真冬は鷹臣を追いかける。
それを煩わしいと一度も思わなかったと言えば、嘘になるだろう。
けれど、なにがあろうと真冬は自分から離れないという確信に近い安堵もあったのだ。
文句を口にしても少しばかり怯えた眼をしても、気付けば真冬は傍にいた。誰もが恐れる鷹臣の近くに、とても自然に。
そしてそれは再会した今でも変わらず、隣りに住んでいる色気もへったくれもない色恋に疎い少女ほどは、どんないい女も鷹臣の中に居場所をつくることは出来なかった。
「真冬。」
名を呼べば、当たり前みたいに振り返る存在。何の企みもなしに優しくしたことなんてないのに、どうして真冬は変わらずに鷹臣の近くにいるのだろうか。
「なにさ。」
知らない間に成長した真冬は、それでも何一つ変わっていない。今も鷹臣の中で、真冬は小さな真冬だった。
「…いや、お前は昔から馬鹿だったなあと。」
自分に懐くなんて、本当にこれ以上ないくらい真冬は馬鹿だ。だから、こんな大人に振り回されることになる。
(どうしようもない馬鹿で。でもお前は馬鹿なままでいろよな。)
憤慨して生意気な口をきいても、頭を撫でるだけで喜ぶのだと鷹臣だってわかっているのだ。



作品名:例外、つまりは唯一の 作家名:六花