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ハナウタウタイ

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「〜♪」


 口からこぼれるメロディーをたどりながら今日はカフェで作業中。布を裁断したり、縫ったりする作業は場所をとるから外ではできないけど、デザインとか場所をとらない作業は外でやるほうが好き。たぶん、わくわくとかどきどきが家にいるときより多いんだと思う。特に好きな曲を口ずさみながらだとね。つい、いい気分になって声のボリュームも上がってきたそのとき。


「お、歌うまくなってるんじゃない?」
「わっ! …スギくんかぁ、びっくりしたぁ」


 後ろから聞こえた声に動転しちゃった。(突然ご本人登場、なんてモノマネ番組みたい)


「もう…っ、声かけるなら前から来てよ!」
「びっくりさせた?」


 こくこく頷くと、スギくんは「ならよかった」なんていたずらっぽく笑った。よくないよ! スギくんのばか!


「でも本当歌うまくなったよ。さっきのよかった」
「ありがとう。でも、さっきの鼻歌だよ?」
「むしろ、それがいいと思うよ」

 えっ、どういうことなんだろ? 曲をつくったスギくんがほめてくれたなんて嬉しいけど、あんな鼻歌のどこがよかったのかな。


「リエちゃんってさ、いつも楽しそうに歌うんだ。…リエちゃんは気づいてないかもしれないけど」


 そう言いながら、スギくんはリエの目の前の席に座る。思わずじっと見つめてたら、かちっと目があう。


「僕は、リエちゃんのそういうとこ好きかな」
「えっ…!」
「あ、店員さん。カフェラテください。…牛乳多めで」


 それって…好きってどういう…!?
 あわてるリエなんか気づいてないかのように、スギくんはしれっと飲み物を注文してる。(しかも、細かい) さっきのはどういうことか説明してほしいのに…!


「ほら、一緒に歌おう。ボリュームは控えめに、だけどね」
「――うんっ」


 けど、まったくなんともないような顔をして笑いかけてくるマイペースなスギくんにはかなわないかも。小さめの声で「せーのっ」って合図して、口ずさむ歌はきっと世界でいちばんいとおしい歌。


(いつかは世界中の人に歌うのさ)
作品名:ハナウタウタイ 作家名:タカミヤ