腐男子彼氏
初めて、佐藤君を見たときの印象は無愛想でヤンキーっぽいだった。
それから、佐藤君と接する度に色々な面が見れて、徐々に惚れていった。
理由なんて、忘れた。
気付いたら惚れていた。
ぐずぐずと思いを告げずに、見てるだけなのはダメだと思い、覚悟を決めてから佐藤君に告白をした。
そして、告白と共に衝撃的な事実を知ってしまった。
「え…?もう一回言って?」
「だから、俺は腐男子だけど良いのか?」
「ねぇ…佐藤君?ふだんしって…何?」
「腐女子は知ってるか?アレの男版。BL好きの男の総称だ」
「そー…なんだ…。でも、あのさ…佐藤君は轟さんが好きなんじゃないの…?」
「いや?同僚として普通に好きだが…」
「だ、だって、よく店長と一緒にいる所を見ていたよね!あれは何!?」
「あぁ、アレな。店長×轟って美味しいよなって思って見てたんだよ。小学生時代から慕っていて、一緒の仕事にまでつく、あの盲目的までの尽くしよう。
私が杏子さんのお世話をしなくちゃ、とか音尾に取られるのが嫌で、刀を向けちゃうヤンデレぷりまで見せる溺愛っぷり!!これは、萌えるいがい無いだろう!あ、BLも好きだが、GLも好きなんだよ、俺」
佐藤君が話す内容の大半が意味が解らなかった。
だが、意味が解らない以上に動揺してしまった。
佐藤君が腐男子でBL好きで、轟さんの事を恋愛的な意味で好きでは無い云う事実に。
てっきり、断られるなら、轟さんが好きだから…と思っていたのだ。
いやいや、まだ断られてないよ
そんな事を考えていたら、佐藤君が心配そうに声をかけてきた。
「相馬…?どうかしたのか」
「あ、何でもないよ!」
「やっぱり…引いたか?」
「そ、んな事は無いよ!で、付き合ってくれるの…?」
「あぁ、よろしくな」
「やった!!」
告白にOKの返事が貰えたことに喜んで、今までの事が少し、吹き飛んでいた。
だから、うっかりと軽はずみな発言をしてしまった。
「佐藤君と俺で萌えるってなったり…」
「いや、それは無いな。」
「え?」
「俺、自分萌えってしないから。寧ろ小鳥遊と相馬がイチャついてくれた方が萌える」
「ははっ…俺と小鳥遊君がイチャつく?あの、佐藤君?俺と佐藤君は付き合い出すんだよ?良いの?それで」
「相馬…。解ってないな。昔から恋と萌えは別腹って言うだろ?」
言わないよ……。
当然の様に言われた佐藤君の言葉に俺は
へこんでしまった。
そして…
「それに、イチャつく二人を近くで見れれば、俺は満足だなぁ」
と云う言葉にトドメを刺された気がした。
想いを告げて、付き合えるようになった筈なのに、前途多難な未来が見えた。
そして、ここから俺の苦悩は始まる。
end