腐男子彼氏3
「お前、小鳥遊と仲いいよな…」
佐藤君のこの言葉に俺は、うっかり浮かれてしまった。
佐藤くんが嫉妬してくれたのではないか、と。
まぁ、俺自身が甘くて、よく佐藤君の事を理解してない事がこの後よーく分かるのだけど。
「あ、佐藤くん、嫉妬?」
「は?何を言ってるんだお前。俺はお前と小鳥遊がBL的展開に(長いので省略)」
何を言ってるのかわかんねーと云う顔で言葉を述べる佐藤くんだが、俺の方が分かんないよ。
まぁ、違うって少しは分かっていたけど、悲しいな…。
俺と小鳥遊くんとのBL的展開について、熱っぽく語る佐藤くんに切なくなった。
俺たち付き合ってんだよね……。と稀に不安になるが気にしない方が利口と俺はこの間学んだのだが、まぁ、その話については今は置いておこう。
暫く聞いてると轟さんの店長ノロケを聞かされて気分になってきた。
流石に中断させないと…と思った瞬間に佐藤くんが俺を指さして、
「だから、小鳥遊ともっと交流して、絡んでこい!」
佐藤君の大変長かった語りの結論に俺は頭を抱えたくなった。
「あの…佐藤君…?」
「なんだよ。さっきの話のどこかに不満でもあったか」
有ったよ…。強いいて云えば、全部なんだけど。
「いや、不満っていうか……」
「はぁ…やっぱりお前は受け側に行きたいのか?俺も悩んだんだがな。相小か小相かは…。でも、今回はお前が年下だから相小に…あ、いや、下克上も好きなんだがな。まぁ、それは今は良い。そうか、そうか、お前は受け側に回りたいのか。俺の時も受けだしな…、お前は総受け体質なのか。襲うより襲われたいのか。分かった。バッチリ理解した」
どこからツッコミを入れれば良いのか分からない佐藤くんの話にから笑いしかでなかった。
一つ言いたいことがあれば、してない……何一つ理解してから!とだけ。
「お前が総受けとは理解したから、小鳥遊におそ……絡んで来い。俺はそれを遠くから見てる」
今日の佐藤くんは完全に暴走モードだなぁ……と現実逃避を始めた頭で次の行動を考えた。
「うー…ん…頑張ってくる」
この状態の佐藤くんに何を言っても無駄と判断した俺は頑張って小鳥遊くんに絡んでくる事にした。
×××
探して直ぐに見つかった小鳥遊くんは、裏で食器を洗っていた。
「小鳥遊くん」
「あ、相馬さん。何ですか?」
「うー…ん…ちょっと、ね」
「歯切れが悪いですね…。っというより、仕事はどうしたんですか?佐藤さんに怒られますよ」
「それは、大丈夫だよ(その佐藤くんに絡んでくるように言われた…なんて言えない)」
「……?そうなんですか。珍しいですね…」
「うん、そう、だね。あ、そうだ。この前君のお姉さんが…」
「ああああ!そ、相馬さん!」
俺が雑談を続けようとすると、小鳥遊君は焦ったように俺の言葉を遮って、後ろを見るように指を差してきた。
チラッと見れば、佐藤くんが立っていて、予想通り俺達を見ていた。
佐藤君の指示とは知らない小鳥遊くんは後ろに佐藤くんが居るのを教えて、俺の気を逸らそうとしていた。
無駄だよ……。と思いながら佐藤君の方を見ると佐藤くんは俺たちを見ながら口を抑えて悶えていた。
「あ、あれ……?佐藤さんの様子がオカシイ…?」
「あー…うん、大丈夫だよ、多分」
だって、俺と小鳥遊くんの会話に萌えてるだけだから。
この会話のどこに萌えているか分からないけど。もしかしたら、こう少し密着気味に立ってるところ…?
いや、考えるな。これは考えたらアウトだ。
取り敢えず、佐藤くんが喜んでくれて良かったよ…。健気だよな…俺。
なんて事を考えながらアハハっと乾いた笑いを心の中でする。
そして、小鳥遊君にそろそろ仕事に戻るよっと言って佐藤君の所まで言った。
「さとーくん」
「GJ!GJ!相馬。これは、相馬の腹黒攻めで小鳥遊の…(長いので略)」
戻って早々に俺と小鳥遊くんとのBL談義をしだした。
とりあえず、佐藤君はご満悦ようだ。これで佐藤くんが喜んでくれるなら安いものだと思う。
まぁ、俺の中の何かを対価としてだけどね。うん…。
「よし!二人共リバ気質だから、今は百合ホモで保留って事にしとくか。」
「……それは、やめてよ」
疲れたように息を吐いた俺は、百合ホモってなに…?と考えながら、一応佐藤くんを止めた。
何で止めたかも分からないが、どこからか危険と警告された気がしたんだ。
腐男子彼氏3
(今日も絶好調で暴走してます)
end