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永遠子(とわこ)
永遠子(とわこ)
novelistID. 726
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もしもゲーム

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もしもの話は際限なく続くので、仕事がつまらない時の、独り遊びにはちょうど良い。「こらてめェ仕事しろ」だなんて鬼男の声をBGMに、閻魔は造りの立派な机に突っ伏しながら、二の腕に頬を乗せて唄うように始めた。

 もしも。もしも、私と君が死人同士であったならば。もしも、私と君が虫同士であれば。もしも、私と君が鬼同士であったならば。もしも。もしも、私と君が花同士であったならば。風ならば。水ならば。生きるひとならば。ふたりは、出逢えただろうか。

否、

 己が冥府の判事であるから、彼が冥府の鬼だからであるから、私と君は出逢えた訳で。己が大王でなければ、鬼である君とは、出逢えなかった訳で。ああ、だから、まさか、こんなにも捨ててしまいたい筈の、大王の肩書を感謝する日が来るだなんて。私、閻魔大王で良かっただなんて、本気で思ってる。まさか。まさか。まさか。閻魔は頭を抱える。しかしその表情(かお)は、間抜けな微笑みだった。

 嗚呼、恋って言うのは、何て恐ろしいものなんだろう!

(2010.07.26)
作品名:もしもゲーム 作家名:永遠子(とわこ)