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黒猫子猫

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…どうしよう…。でもっ、このままじゃ…でもだからってみんなに言う訳にもなぁ…。
だからってこのままも、っておい!!コラどこ行くんだ待てってば!!

■   ■

そわ…そわそわ
          びくっ!!…キョロ、キョロ…

「……………なーにしてんのチハたん。」
声が響くのは陸軍野外地近くの訓練場(隅っこ)。その近くの茂みに座り込んで蹲ったチハたんがなにやら周りをキョロキョロ見ては、落ち着かなく動いている。その真後ろ(つまり背後)にしゃがみ込んで目の前の挙動不審な仲間に目をやりながら口をこぼす。そして、びっくぅ!! と言わんばかりに肩をびくつかせ小さい体をさらに小さく縮こませるチハたん。いやね、確かにいきなり声かけたのは俺だけど何でそこまで驚くのかな。あーあ、慌てちゃってまぁ。さすがドSホイホ…ああこれ言うとチハたん怒るんだよねぇ。
「あ、ああああ兄者、ど、どどど」
俺の姿を確認したチハたん。しかしなぜか目は泳いでるわ、挙動不審だわ怪しいことこの上ない。
ん?あれ、なんかチハたんのお腹…なんか変にふくらんでな…
にぃー、にー…
愛くるしい(?)声があたりに響く…………そして、もれなく俺とチハたんの間に沈黙が降り注いだ。
「ねぇ、チハたん…もしかしてね…「あ、いや!!これは、その!!や、野外の訓練で猫の鳴き真似を!!…で、すね…」
とっさの事だから慌ててるんだろうけど…ちょっと無理あるんじゃないかなチハたん。本人もびしびしとそれを感じてるようで、冷や汗をかきながら次の言葉を探してる。
「はーい、チハたんばんざーい。」
「うわぁぁぁ!!だ、ダメです、兄者ぁぁぁぁ!!」
うわぁぁぁんと泣き叫びながらお腹を地面にむけて丸くなるチハたん。その様はまるで丸まったダンゴムシだ。
「ほらほら、いい子だからだしなさーい。はい、ばんざーい。大丈夫、痛くしないよ…多分…。」
「多分ってなんですか兄者ぁぁぁぁ!!」
ボソッ、と言った不穏な言葉に、一向に立ち上がる気配のないチハたん(むしろ悪化した)。どうしたものかと考えていると、またチハたんのお腹がもそもそ動いて、そこから小さな頭がひょっこり出てきた。
「にゃーぉ。」
出てきたのは小さい黒猫。しかも子猫。まん丸のつぶらな瞳が俺達を捉える。遊びたいのか、チハたんの靴をひっかいたり、周りの草でじゃれている。
無邪気な子猫のすぐ手前には真っ青な顔したチハたん。
「あ、兄者…これは、ですね…」
……聞くとどうやら演習場に子猫が紛れ込んでいたようだ。それを見つけたチハたんはどうしたものかと考えていたが、子猫は演習場からこちらの野外地に走っていってしまったらしく、急いでそれを追いかけたらしい。…で、
「で、今のダンゴムシに至る訳ね。」
もう子猫は服に隠していないが、それでも蹲って子猫を抱いているチハたん。
…べつに獲って食いやしないのに…多分。
「シキシキに話す前にとりあえず他の人に相談しようとおもったんだ。」
あれ、おかしいなその相談相手に俺は含まれていないのかな?チハたん。
「そうだよね、猫なんて貴重なご馳走だも「兄者ぁぁぁぁ」
叫ぶや否や、さらに離すまい!!と猫を抱きしめるチハたん。くわないよー、少なくとも今日は。だって今日の夕飯はもう決まってるもん。入手経路は言えないけど。
「でも連れて行くわけにいかないでしょ?」
「………はい…。」
自分の命も守れるか怪しいのに、こんな弱く儚い小さな命なんてもっとわからない。ちょっと力を入れてしまえばつぶれてしまいそうなのに。ここは、そういう所だ、チハたんもそれをわかってるハズだ。

…………でも、まぁ、
「今日、少なくともあと今日少しくらいはかまってもいいんじゃない?」
このあとチハたん暇でしょー。なんて軽口を吐いた。チハたんだけじゃない、俺だってここはこんな弱い者は来るべきじゃないってわかっている。…………だけど
ポカンとしたかと思うと、次の瞬間チハたんが子猫を放して立ち上がった。
「は、はい!!兄者!!ありがとうございます!!」
なんだかなぁ、絆されるってこういう時のコトバだよねぇ。シキシキに言ったら怒られそうだけど…。
あぁ、それと、嬉しそうに言うチハたんをみて、俺もちょっと暖かいキモチになったのは、チハたんにはナイショね。



「隼殿!!見てください!!」「おー、可愛いけど…なんだ?非常食か?」「ちょ!!ち、違いますよ隼殿…!!」「あ~、悪いケイが許したんだからそんな理由かと思ってた。」「違いますよ…。」   「Hi.チハたーん!!」 「こっちくんなーーー!!!」

子猫によく似たキミと、黒猫なボク


***
作品名:黒猫子猫 作家名:橙路