まぶしい
血の匂いしかしない己が嫌いなのだと言う。
「うん、まぁ、わかんなくて当然でね?だってー、俺ら兵器だもん」
ケイはそんな風に言った。
俺は戦車じゃなくて牽引車だけど、と付け加えることも忘れない。あまりに真剣に繰り返すから、思わず噴出すと「ソコ大事、試験に出るよ」と嘯いた。
無い腕を覆う袖が風で静かに揺れていた。
きっとその背を俺は忘れることが出来ないのだろう。黄土に隠れるその軍服と、不可思議な雰囲気のこの人が。
ケイはにやにやといつもの食えない笑みを浮かべている。
「俺は駄目な兵器なんだろうねー。みんなみたいにはなれなかった。戦うのは怖い。痛いのは嫌い。お国のために死ぬなんて真っ平ごめん。シキシキが聞いたら怒りそうなことデショ?それに、」
隻眼がぐるりと動いた。真っ直ぐに見つめられて、一瞬だけ息が詰まった。
「それに、なに?」
ケイは誤魔化すように、シリアスになりかけた空気をぶち壊すように声を上げて笑った。
I do not hate you.