生存条件
「それって脅しですか」
「いえ、本当の事なんです」
そんなやりとりもすっかり忘れた頃、里外の長期に渡る任務にイルカは命じられた。
いままでべったり側を離れなかったカカシといきなり離れる事に寂しさを感じなかったといえば嘘になる、だが、まさかあの時言った事が本当に本当で、任務に就いてしばらくして、全身青白く痩せてしまった、かろうじて息をしている状態のカカシが目の前に運ばれてくる事になるとは夢にも思わなかった。
イルカの元に運ばれ、一命を取り留めたカカシが言うには、自分はイルカに自分の持っている全てのものを捧げてしまったので、きっと生きていく上での大元となるものも全て渡してしまったのだろう、との事だった。
いつの間にそんな重大ものを引き受けたのだろうと当惑してみても意味は無い。
カカシがそう思っていて、実際イルカが側にいるという事が生きていく上での絶対条件になってしまっているのなら、それは二人を分かつ事はできない理由となってしまっている。
イルカはひっそりとやっぱり脅しなんじゃねえかとぼやき、そんな状態を小さく嬉しいと思っている自分は無視する事に決めた。