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私、夢を見るわ

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圧迫感で目が覚めた。
薄目にしか開かない目では、暗い自分の部屋をぼんやりしか映し出せない。
外はまだ真っ暗で、鳥の声も人の声も車の音も何も聞こえない。
呼吸の音だけが、耳鳴りのように小さく自分の体の中に響く。
全身に感じる圧力は、僕の背後に寝ている人物のせいみたいだ(寝るときは一人だったはず)

「・・・いざやさん?」
「ん?起きたの帝人君?」

他の人だったら僕が大変なことになる、と思いながら恐る恐る名前を呼んでみれば正しく変態(と書いて臨也さんと読む)だった。
一応顔も知らない赤の他人が布団にもぐりこんできてるわけじゃなかったことに、ちょっとだけほっとする(いや、良くはないけど)
ちなみに臨也さんにこうやって勝手に家の中に、且つ布団にまで侵入してくることは多いといえば多い。
最初は慌てたり殴ったり蹴ったり怒ったりもしていたけど、もう慣れてしまって(しかも反省しないしこの人)何かされるわけでもないから、放置することにしてる。

「また不法侵入ですか」
「いやだなぁ恋人の家に入るのに許可なんているのかい?」
「・・・同棲じゃないならいると思いますけど、許可」
「じゃ、同棲しよっか。俺の家においで?」
「嫌です結構です拒否します」

背中に抱きつかれたまま喋られると、首の後ろがくすぐったい。
僕の頭に顔を埋めてるから声も聞きとりづらいし、利点を挙げるならこの人が泥棒よけになることぐらいだ。

「恋人ってところは否定しないんだ?」
「寝言や戯言には極力触れないようにしてるだけです。めんどくさいんで」
「照れてる帝人君も可愛いよ」
「・・・」
「あ、ここはスルーするんだ」
「(ほんとにめんどくさい人だなぁ)」

背中から抱きこまれてるせいで臨也さんの表情は見えない。
たとえ正面から抱きしめられたとしても、どうせ身長差もあって表情を見ることは難しいけど(どうせこの人は笑ってるだろうし)
でもこの人が、僕みたいなただの男子高校生をどんな顔で恋人なんて言ってるのかはちょっとだけ気になる(いつもの掴めない笑顔だろうけど)

「あーあったかいねぇ、帝人君は子ども体温だなぁ」
「まぁ実際子どもですから」
「子ども扱いされたら怒るくせにー」

えいえいと人差し指で脇腹をつついてくる(子どもなのはどっちだ)
それにしても抱きしめられているのに髪の毛が引っ張られる感触がするのはどういうことなのか。
(まさか口で引っ張られてる・・?)ものすごく正解な気がする(頭突きかましてやろうか)
さらに素足に臨也さんの足が絡められて、鬱陶しさが倍増してる。
短パンに侵入しようとする手をペチンと叩いてから、枕の位置を顔を動かして戻す。
臨也さんの手はもう一度僕を抱きしめる形に戻って、それから動きを見せない(ようやく落ち着いたか)
代わりのように着古して伸びた僕のTシャツの襟ぐりに潜り込んで、チリリとした痛みを残した。

「帝人君、明日体育ある?」
「んー・・・ない、ですねぇ」
「じゃ、もういっかい」

首筋から囁いて、さっきキスマークを付けたんだろうところから、さらに上のうなじまで濡れた感触が這い上がる。
不法侵入した年下の同性の家で、その家主の首に舌を這わせてキスマークを残すとかどんな変態だ(あ、もとから変態か)
あまりにも眠くてもう口を開いて文句を言うのも面倒くさい。
ちゅっとやけに可愛い音を立てて臨也さんの唇が僕の首から離れる(体育なくても隠れない場所じゃないかな)
嫌な予感が脳裏をかすめる。
でも布団と臨也さんの体温に体と意識がずくずく溶けていってる僕には、適切な突っ込みも思いつかなくて(起きて、まだ居たら・・)(あの顔、頭ごと床にぶつけてやる・・・ことにしよう)

「も、眠いので・・・おやすみなさい」
「うん、おやすみ。俺の夢を見てね」
「・・・いざやさんが、どこか・・とおくに行ってくれたら、みて、あげます・・・」
「それは無理だから、俺が君の夢を見ることにするよ」

(じゃあ同じ夢でも見ればいいんじゃないかな)

なんて考えてしまった自分の頭も床に打ち付けて殺したいと本気で思った。
作品名:私、夢を見るわ 作家名:ジグ