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如月ヒメリ
如月ヒメリ
novelistID. 13058
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※飲むヨーグルトは飲むものです※

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「みか・・・ど・・・?」
一瞬、何が起こったかわからなかった。
思わず、目の前の人物の名前を口にする。
「なぁに?正臣。」
対する相手はにこにこと笑って、この状況を楽しんでいるようだった。
正臣は、そんな帝人の姿を見ながら思考する。今の、自分の状況を。

正臣と帝人以外には誰もいない、放課後の屋上。
帝人はいつもと変わらない制服姿だ。
正臣もいつもと変わらない私服姿―だったが。
ひとつだけ、決定的に違うところがあった。
そのひとつが、正臣の姿を台無しにしてしまっている。

それは、白く濁った液体だった。

ドロドロとしたその液体は、肌に張り付いて気持ちが悪い。
服に付着してしまったものはすでにしみに変化しつつある。
そんな自身の姿を理解したところで―、正臣はくしゃりと顔を歪ませた。
今にも泣き出しそうに潤んだ目で、今自分と向き合っている相手―自身をこんな姿にした相手―をにらむ。

「ちょ、何してくれてんの。」
震えるような声でそう言うと、帝人のほうはそんな大したことしてないじゃん、と笑みを崩さず返してきた。
「いやいやいや、どう考えても大したことだろこれ。全身ドロドロじゃんかよオレ。」
「まぁ、そうなることを見越してやったわけだけどさ。」
「まさかの確信犯だと・・・!?」
さらりと言う帝人に愕然とする正臣。
「・・・あとさぁ、オレ今からナンパ行こうとしてたのね?わかる?これじゃ行けねーじゃんよ。」
「うん。知ってる。そのことを妙に楽しそうに話すもんだからイラっとしてやったんだもん。」
「はいっ?まさかオレそんなことのためにこんなもん頭からかけられちゃったわけ!?」
「そうなるね。」
あっさりと言い放たれた言葉に唖然とする。

目から零れ落ちそうになった涙を手でぬぐうと、あとさ、と疑問を口にした。
「何でよりにもよって飲むヨーグルトなの?嫌がらせ?」
「いや、たまたまさっき自販機で買って持ってたから。コーヒー牛乳とかよりは良かったんじゃない?しみになりづらいし。」
「よくねーよ!なんかこう、絵的にダメだろオイ!」
「そう?」
帝人は相変わらずの笑顔のままタオルを投げてよこした。
正臣は黙って受け取り、どうも、と小さくつぶやいた。


* * *


「とりあえずその服脱げば?」
「他に着る服ねーもん。」
「え、ジャージとかも?」
「今日持ってない。・・・帝人、貸して?」
「・・・しょーがないなーもー・・・。」