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幼馴染パロ 短編集2

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「わかっていただけましたか?なら、早くここから逃げることをお勧めします。それから、もう静雄に喧嘩売らないでくださいね。彼暴力とか嫌いな性質なので、あなたたちのようなのが迷惑なんです」
「な・・・っ、てめぇ馬鹿にしてんじゃねぇぞ!」
「そ、そうだ、どうせガソリンとか嘘だろ!んな真似できるやついねぇっての!」
「だよな!ビビらせやがってぶっ殺してやる!」

何の根拠もないのに帝人の言葉が嘘だと信じ、いや信じたい男たちはまた騒ぎ出した。
その姿を見て、今度は大きくため息をつく。
信じてもらえないのは仕方ないけれど、万が一があると冷静な思考をして、戦略的撤退でもしてくれないかなぁと嘆息する。
こんなことをするのは3度目だが、信じてもらえない率は3戦3敗だ。

「はぁ・・・もういいです。わかろうとしない人に、懇切丁寧に説いてやるような気力や親切心は持ち合わせていないので・・・さよなら。死なないことを祈ります。僕と静雄のために」

そう言って、火が灯ったままのライターを下へ投げる。
ぽいっと軽く投げられたそれに、男たちは「やっぱりガソリンなんて嘘だ」と笑みを深めたが、それも一瞬の出来事だった。
カツンとライターが地面に触れる音は、誰の耳にも届かなかった。
それよりも一瞬速く、火は地面へと移り、一気に燃え広がったからだ。

「ひっ、ぎゃぁぁぁぁあぁっ!!!」
「うわぁぁぁっ!!うそだろ、うそだろ!?」
「いやだぁっ!た、たすけ・・・っ!!」

ガソリンを伝って火が燃え広がる。
男たちは全速力で走ってその場を離れ、火のついた服を必死に脱ぎ始めた。
髪に引火してしまっている男は、バタバタと地面を転がる。
完全に阿鼻叫喚と化した下を見下ろして、帝人はビルの中へ姿を消した。
別の扉から外へ出ると、帝人が呼んだ救急車と消防車の音が聞こえ始めていた。

「ちょっとタイミング遅かったな・・あの人たちが信じてくれたら、もう少しは助かったかもしれないのに」

嵌めていた手袋をはずしてポケットへ突っ込むと、普段と変わらない歩調で家へと歩き出す。
きっと家では、また喧嘩をしてしまったことに落ち込んでいる静雄がソファで体を丸めているだろう。
もしかしたら臨也がちょっかいを出しているかもしれない。
他の人ならいざ知らず、臨也との喧嘩はもう静雄の人生において日常に組み込まれてしまっている。
いまさら臨也と喧嘩したところで落ち込む必要もないので、気分転換には逆にいいかもしれない。
臨也がそこまで計算して静雄に声をかけているかどうかは知らないけれど。
そんなことを考えながら歩く帝人の姿は、すぐに何の違和感もなく人々の姿に埋没し、消えた。


(帰ったらすぐシャワー浴びて匂いを消して、めいっぱい静雄を甘やかそう。抱きしめて、静雄は僕の大切な人間だよって、伝えよう)
作品名:幼馴染パロ 短編集2 作家名:ジグ