せなかあわせでつなぐてのひら
俺の問いかけに同級生の少女は不思議そうに瞬いた。
「でも、危険やで。春野くんは、関係あらへんのに」
なんでこんなときに、そんないまさらなことを聞くんだ。”ゲーム”も灰火秋島もそれぞれ別の場所で一緒にかかわったのに、と考えてふと気づく。
そうだ、これまでは単なる偶然で俺らは動いていた。いつだって離れた場所から助けられていた。
だから、何かに巻き込まれているのにずっとそばにいるなんて珍しいなと思っていたのに結局、自分たちはこうだ。同じ場所にいれたことがほとんどない。
けれど隣にいても、離れていてもやることは何も変わらない。
足らない手を貸す。それだけだ。
少しの逡巡のあとに、告げられた選択にうなずいて、俺たちは反対方向へと走り出した。
作品名:せなかあわせでつなぐてのひら 作家名:結城音海