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ふうりっち
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novelistID. 16162
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=1= プロイセン・ブルー(仮)

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昼下がりとはいえ、市場には多くの人手があった。
 人々の憩いの場である中央広場では、大道芸や軽食ワゴンが軒を連ね、行き交う人々の貌は春の陽のように活気にみちている。
 それを横目に馴染みの店で買い物をするプロセインは、おまけに貰ったばかりのトマトをかじりながら、長く癖のある前髪が特徴的な若い店主に問う。

「今日は、えらく賑やかだな?」
「なんだプロイセン、まだ居んのかよ!」

 悪態をつく店主に、プロイセンが感情を荒立たせることはない。若い店主の口の悪さは、昔らか知っているからだ。
 何より、町外れの教会で聖職につく彼は法衣を纏っていても、その振る舞いは同世代の若者と変わらない。だが、それが関係者からすれば『聖職者としての自覚がなさ過ぎる』と非難されること知りながら、それでも態度を改めることはなかった。
 金髪に蒼い瞳。
 血を分けた弟と同じ髪と瞳の色であり、同じ遺伝を持つ兄弟であることを誇りにしていると同時、聖職者のみに与えられた法衣。
 周りの若者はもっと簡素な衣服を身にまとっているにしても、たったこれだけで他の者と区別されることを不当とし、どれだけ周りが騒ごうともプロイセンは動じことはなかった。

「なぁ、今日なんかあんのか?」

 市場が昼間から賑わうのは当然として、収穫祭でもないのに広場に多くの人が集うのは珍しかった。
 プロセインが指差す広場へ店主が視線を向ければ、丁度、ショーがクライマックスを迎えようとしているところだ。
 歓声に沸く広場で行われるのは、闘牛ショー。広場と敷地を仕切るようにフェンスが囲み、囲み中では青年と鋭角の角を持つ黒毛牛が対峙していた。
 彼は「マタドール」と呼ばれる闘牛士であり、衣装からのぞく浅黒くい肌と黒髪が印象的な男であった。しかも、細身の肉体には派手な衣装を纏い、牛を煽るように赤い布(ムレータ)を掲げている。

「明日、遠い異国から賢者様がくんだよ。今日は前夜祭って聞いたぞ。けど、おかげで忙しいってんだ」

チクショウがッ! 
それが口癖なのか愚痴るような言葉を唾棄するも、女性客が店先に立ち寄れば、すぐに甘い笑顔を浮かべている。

「賢者様…ね」

 まだ皮の硬いトマトを食べ終えると、プロイセンは店主に別れを告げ店先を離れた。その直後、ショーを終えたばかりのマタドールが走ってきた。
 息を弾ませる姿をなんとなく視線で追っていると、彼はプロイセンが買い物をした露店に駆け込んでいく。

「すまん、ロマーノ! 遅うなった」

 その名が店主の名前だとすぐに分かった。しかし、こんな時に彼の名前を知ることになろうとは。

「おっせーよ、馬鹿スペインッ!」

 会話のやり取りからして、二人は知り合いのようだ。
 マタドールの彼を客として扱わず、ファーストネームで呼ぶあたり二人の間柄は親密なのかもしれない。
 彼らの会話をもう少し聞いていたい気持ちもあったが、家で待つ愛しき家族を思うとプロイセンは踵をかえし、家路を急ぐように広場を離れた。



続く→


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<設定>
プロイセン→司教(?)っぽいひと
ドイツ→病気療養中

店主→ロマーノ
闘牛士→スペイン


<その他>
プロセインとドイツは、寂れた教会で暮らす

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