twitter log #02
目の前に立つ男をぼんやり眺めて嘆息する。真直ぐに通った骨も無駄のない筋肉も、今すぐ触れられる程近くにあって、…この手を伸ばせば、その体に触れ、ぎゅうと抱きしめることが出来る。けれど、俺はとんだ臆病者だ。ああ、使い物にならないこんな体など、思うに任せぬ心など。/彼の背,fe
0802 00:58
隣に立つ男が何でもないような素振りで俺の手に触れる。突然のことで反応が遅れ、手を振り払うことも顔を上げることも出来ずに、俺はじっと自分の右手を見つめた。視線の先で男の長い指が俺のそれに絡む。まるで捕食されるようだ、思って息が詰まる。「敏感だね、」男が低く笑った気もした。/fe
0804 00:44
お前なんか嫌いだと言われたので眉をひそめて嘘と返す。嘘じゃないと呟いた坊ちゃんは、唇を舐めてからゆっくり口を開いた。「何でも分かった風にするのも、実際何でも分かっているのも、大嫌いだよ」…そんなの。腕の中で坊ちゃんが離せと喚いたけれど、それも嘘でしょうといなしてしまった。/fe
0808 00:02
引き返すなら今だと男は言った。低い囁き声は諭すようでいて、どこか熱を含んでいる。仮面で隠された男の顔からは何も読み取れない。熱さは確かに感じるのにと手を伸ばす。指先に伝わる硬い感触。外して、呟いた声に男は息を飲んだが、次の瞬間には獰猛な笑みを浮かべて俺を掻き抱いた。/te
0811 00:17
その背を抱き、硬い髪を撫でて、薄桃の唇を何度も啄みたかった。叶わぬと分かっているからこその夢想。俺の中で彼は身勝手な想像に曝される。ねえその瞳を潤ませて、お願いだから俺を呼んでよ。そう願い、幾度の夜を越えたろう。実際にはその爪の先にさえ、触れることなど出来ぬのに。/fe
0826 00:48
暑いと咎めたのに男は手を止めなかった。はだけたシャツの隙間から長い指が忍び込んでくる。這わされた手の平に息を詰めたら男が低く笑った。「気持ちいいの、坊ちゃん」なら、その内暑さも何も忘れるよ、とまさか思ってもないことを囁いて、狡い男はその手に艶を乗せ始めた。/交歓,fe
0829 12:37
行き違いが多ければ淋しくもなるがそれを正面切って言うつもりはない。「何だ、俺に会えねえからって拗ねてんのか」なのに全くこの男は。勝手に言ってろ髭親父、吐き捨ててそっぽを向いた。苦笑した男が後ろから俺を抱き込む。「そんなの、俺もだ」耳朶に触れた囁きは、笑い飛ばすには熱すぎる。/te
0911 23:38
寄り掛かってくる男の体は軟体動物のよう。アルコールのせいか体温が上がっていて、シャツ越しでも充分熱が伝わる。どうしろってんだと呟いたとき、「……ふらん、早く、」丁度イギリスが口を開いた。思わず視線をやれば蕩けたぺリドット。ぎゅって、しろ。囁く吐息は、どこか夢のようだった。/fe
0914 22:19
不意に呼ばれて、枕に突っ伏していた顔を上げる。男は布団をめくり、空いたところへと体を滑り込ませた。のしかかるようにして回された腕がぎゅうと俺を引き寄せる。「あったかいね」耳に触れた言葉に、ふたり蕩けそうなくらい? と首を傾げれば、男は酷く満足そうに頷いた。/fe
0919 01:07
筋張った指が唇の上を這っていく。男は困ったように眉を寄せ、だめ? と低く囁いた。伺う声とは裏腹に、その双眸は欲をたっぷりと孕んでいる。「どうせ好きにする癖に」呟いて指へと噛み付けば、お返しのように舌を嬲られる。好きに操られ、男の思うまま震える脆弱な体が不愉快だった。/fe
0930 23:35
作品名:twitter log #02 作家名:はしま