二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

水をやらねば花は枯れる

INDEX|1ページ/1ページ|

 

 ときどきよ、思うわけ。お前とかなみちゃんみてるとさ。まぁお前のアルター能力あてにして仕事してる俺の言えた義理じゃねえけど、俺らのやってんのは危険な仕事だ。いつお前がかなみちゃんのとこへ帰れねえような傷を負うかわからねぇ。まぁお前は俺の知るかぎり最強のアルター使いだけどよ。でもどうすんだ。もしもなんかあったら。離ればなれになったとしたら。もしも再会できるとしてもよ。何年も離ればなれになるんだとしたら、どうすんだ。五年後考えてみろ。かなみちゃんは13歳。そろそろ思春期さしかかって、側に同年代の奴がいたら意識しはじめるだろうな。でもまぁ、かなみちゃんはやさしいからまだお前のこと忘れたりしねぇ。それどころかおめーのことが好きなのは間違いねえから、もしかすると同年代の奴らと、お前を比べたりなんかもするかもしれねぇ。でもさらに5年後。いまから十年後はどうだ? かなみちゃん。きっとすっかり体つきも女の子らしく出るとこでたり——って! 殴るんじゃないよ。想像しただけでしょーが! だいたい俺が言いたいのはそこじゃねぇってのこのばか、もー考えなしにすぐ手出しやがって……落ち着け落ち着け。んで、だよ。まぁ、とにかく、女の子から女になって。そろそろ結婚なんかも考えるかもしれない。かなみちゃんだって安定した生活は望むとこだろうからな。でも、お前はいない。好きだった男はいない。しかももう記憶のなかのてめーは16のガキだ。歳追い越してるし、古い記憶だ。穴だらけだろうし、それを補うにしたってお前の短所はすっかり見えてるころだ。そろそろ愛想もつきてるかもな。好きだって気持ちも恋愛感情じゃなかった、と思うようになってるかもしれねえ。で。そこに優しくて甲斐性もある男がきたらどうだ。考えてみろよ。てめーなんざ記憶の中の一コマになっちまうぜ、カズマ。
 ……それでもいいって? かなみが幸せなら別に俺がどうこう言うもんじゃねぇ? まったくばっかだねぇカーズマくんは。お前が納得するわけないじゃないの。暴れ回るしか能がないくせによ。もしくは? おまえのことだから? 自棄になって自殺行為に走っちゃうかもしんねーけど。とにかく、納得するわけねーじゃんよ。俺が将来のかなみちゃん想像しただけでも怒るお前がだよ。他人にかっさらわれて満足するもんか。素直じゃないねぇまったくさ。だいたいお前が二年も側に置いて護ってるってだけでも、おつりがくるほど十分な答えだろ。そう思わねぇの? ——ああそう。まったく、無自覚ってのはヤだねぇ。ヤな男だよ、お前。

--
2008.02.01