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めずらしいかもしれない、ふたりで勉強するなんて。


朝からずっと黙って勉強している。教えたり教えられたりはしないから、ふたりでやる意味は、あんまりないなあ。

ま、おば様からお昼ご飯を作ってやってくれ(こいつは「昼飯、つくれ。」と宣いましたがね、いつものごとく。これじゃ、依頼じゃなく命令だ。)と言われたから、朝から来ているようなもんだけど。

こいつは、はっきり言って、頭がいい。だから、普段どんな勉強のやり方なのか、ちょっと興味はあった。今は、数学をやっているが、興味なさそうに教科書をじっと読んでいたかと思ったら、いきなり猛烈な勢いで問題集を片付けていく。見ていると、ほとんど消しゴムを使わない。教科書をめくりめくり、消したり書いたりしている俺とは、やっぱり出来が違うみたいだ。

理系が強いのはイメージどおりだが、ああ見えて文系の科目の方が好きらしい。俺は元より文系の人間だが、それでも時々敵わない点数を取ることもあって、くやしい思いをする。

勉強はできるし、スポーツは万能だし、俺以外の人が言うには性格もいいらしいし、見た目も、まあ、なかなかいいかもしれないし・・・。

「なんか、つまんねえやつだよなあ、百目鬼って。」
「あぁ?なんだ?いきなり。」
「いや、なんでもねえ。」

俺が、黙ってしまったら、こいつもまた勉強に戻ってしまった。
なんか、少し飽きてきちゃったなあ。シャーペンをくるくる回しながら、お昼の支度のことを考え始める。

「百目鬼、パソコン使わせてくれない?」
「あぁ。別にパスワードとか設定してねえから、そのまま使えるぞ。何するんだ?」
「ん~?、ちょっとね。(内緒だよ~、レシピの確認だもんね~。)」

パソコンを開いて、電源を入れたら、いきなり百目鬼が「あ、ちょっと待て。」って、俺とパソコンの間に割り込んできた。
「何すんだよ、もう。」
「いや、何でもない。俺が立ち上げるから、ちょっと待て。」
「あ~?なんでだよ、パスワードとかねえって言ってたじゃん。・・・はは~ん、百目鬼くぅん、見られちゃ困るものがいきなり立ち上がっちゃうとか?うりうり、何なんだよぉ、見せろって。」
「うるさい!」



「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」



「なんだよ、これ。どっから持ってきたんだよぉ、こんなの。」
「・・・侑子さんから、もらった。」
「はあ~、おまえなあ・・・。」
「怒らないのか?」
「いや、あきれた。もう、おもいっきりあきれた。」

確かに、あきれもしたけど、なんでもできて隙のなさそうなこいつが、こんなのを壁紙に設定してるかと思ったら、ちょっと気が抜けて可笑しかった。やっぱ、かわいいよな。惚れた弱みってやつかもしれないけど。

しかし、侑子さんには、文句言ってやらないと。人がうたた寝してるところを写して、おまけに人に送りつけるだなんて。あの人のことだから、これ1枚のはずもないし、百目鬼だけのはずもないもんな、絶対に。

作品名:壁紙 作家名:服部