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【ノマカプAPH】思いきりも時には必要なのです【中越】

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私と彼は、好きだとかそんな言葉で表せるような関係ではなかった。
出会った当時は、彼が私の家に遊びにくるたびわくわくして、それが恋だと信じて疑わなかった。
しかし膨大な時間が流れ、彼との関係は悪化し、かつて抱いていた感情は泡のように消えていった。


…はずだった。


女のような彼の顔が私の目の前にある、という状況に陥るまでは…


思わず私が拳で右頬を軽く殴ると、彼はむくれながらつぶやいた。

「我だってやる時はやるある。」
「なに言ってんのよクソジジイ。」
「ジジイじゃないある!ピチピチある!」

なるべく落ち着いて、彼の行動の意味をゆっくりと考えてみるが、答えは浮かんでこない。

「というかお前も人のこと言えねえある!」
「レディに対して失礼ね。」
「誰がレディあるか。こんな暴力的なレディいないある!」

そう言って、先程の場所をわざとらしくさする。

「あれは正当防衛よ。あんないきなり他人の顔が目の前に来たらビックリするでしょう。私だったからいいものの、若い娘だったら訴えられてもおかしくないわよ。」
「誰にでもやるわけじゃないある!」
「…へ?」

中国の突拍子もない一言に、ベトナムは間の抜けた声を発する。

「お前だからやったある!他の奴にはやらねーある!」
「…どういうことよ。」
「まんまの意味ある!お前の顔見てたら…なんか……ちゅーしたくなっちゃったあるよ…」

そう言うと彼は顔を真っ赤にしながらも、私をじっと見つめてきた。自分の頬にもその熱が伝染してきたのを感じる。
それを隠すようにうつむきながら、一歩を踏み出し、彼の襟元を掴んで一気に引き寄せる。
唇を一瞬だけ触れさせて、すぐ離す。

「な…なにするあるか…!」
「そんなんだから紅一点とか言われるのよ。本当に男なら思いきって来なさいよ。」

目の前の顔は真っ赤に染まり、目は落ち着くことなく泳ぎ続けている。

「…で、次に何言えばいいかは分かるわよね…?」
「う…うぉーあいにー?」
「よくできました。」

勢いよく抱きつくと、一旦よろけながらもギュッと抱き返された。


【終】