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【SPARK5】こいずみ作文【新刊サンプル】

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『こにくらしいけど』



「かしこまりました」
「ではそのように」
「ええ、すばらしいアイディアですね」

「さすが涼宮さんです」

 俺は、苦虫を噛み潰したような表情をかろうじて抑えた、おそらくは不満が滲み出ていそうな顔をしてハルヒと古泉の会話を眺めている。
 二人の話の内容は何やらまたよからぬことをしでかす為の話し合いのようで、そんな顔になっているのも仕方ないと言うものだろう。
 だが、俺の機嫌が良くないのは話の内容の奇抜さについてではない。
「では涼宮さんの言うとおりに」
「よろしくね!」
「お任せください」
 何事か決定したらしい。
 途中、俺にも話が振られていたような気もするが、正直右から左、左から右だ。どうせ反対したところでハルヒが簡単に意見を翻すこともないだろうし、僅かなりとも聞き入れてもらえる余地があるとも思えない。
「あら、もうこんな時間ね。そろそろ帰りましょうか」
 折りよく、長門がぱたりと本を閉じるいつもの合図で本日の活動終了となった。
「私たちはこのあと寄るところがあるから二人は先に帰ってていいわよ」
 朝比奈さんの着替えに配慮して部室を出ようとしたところ、そうハルヒから声がかかったので俺と古泉はそのまま鞄を持って部室を出た。
「じゃあ古泉くん、よろしくね」
「了解しました、涼宮さん」
「じゃあ二人ともまた明日!」
「失礼します」
「・・・おぅ」
 一瞬、古泉が横目で何か言いたげな視線を向けてきたのは見えたが、それを無視して俺はさっさと部室を後にした。どうせすぐに追いついてくるのだからと俺は古泉を振り返ることせずやはり先に歩いていく。
 すぐに小走り気味の足音が近づき俺の少し後ろでそれはゆっくりになった。俺と歩調を合わせついてくる古泉は戸惑っている様子で「あの」と声をかけてきた。
「どうかしましたか?何かありましたか・・・」
「別に」
「別にって・・・」
 態度があからさまなのは自分自身わかってる。でもソコは構ってくれるな。いいだろう、ハルヒは気にした風でもなかった。俺が勝手にこだわってるだけなんだ。
 俺のその分かりやすいにも関わらず何も言おうとしない態度になんと言葉をかけたものかと逡巡してるらしい雰囲気が伝わる。
 なにも言わなくていいからスルーしてくれ。
 と、思うだけでは伝わらないもので、そしてこういうときの古泉は割と触れてほしくない話をしだしたりする。
「先程の涼宮さんの話で何かありましたか?でも一応貴方も了承したことですし、ここで意見をするのは涼宮さんの機嫌を損ねかねません。すでに涼宮さんはかなり乗り気になっておられますし。ああ、でも」
「ちがう」
 思わず、怒鳴るような声で遮った。
 ああ、わかってる。俺が何も言わないのだから古泉が勝手な憶測でべらべら喋るのは当たり前で予想の範囲内だ。それでさらに機嫌が滑降していくのは俺の自業自得というようなもので、それで古泉に当たるのは八つ当たりってやつだ。
 そもそも古泉がこうなのはこいつの立場とか優先すべきことを考えればやはり仕方ないことでそれを俺は知っているし、了承の上で古泉と今のような関係を続けているのだ。
 だが、だがしかしだな。
「ハルヒハルヒとお前は本当にハルヒ至上主義だな。お前、俺の恋人になったんじゃなかったのか」
 なんだこの台詞。ただの嫉妬心丸出しなのが丸分かりじゃないか。
 自分の失言にどこか頭をぶつけられそうな角でもないかと目線をさまよわせたがその途中で古泉の驚いたような表情が視界に入った。次に慌て気味に目線を逸らしつつ「そ、それはそう、ですけど・・・」などと僅かに頬なぞ染めてどもりつつ言うものだから、角を探すのは止めた。
 まさかここでこいつがこんな照れるとは思わなかった。
 てっきり、いつもの調子でハルヒの力についてだとか自分の立場であるとか、ひいては勝手に役割づけられてしまっているの俺のハルヒへの影響力だとかをよどみなく、小憎たらしい笑顔でべらべらと語られるかと思いきや。どうだ、古泉のこの恥じらいよう。どうしたお前。いつものスマイリーぶりはどうした。
「いえ、だって貴方がまさかそんなストレートな物言いをされるとは思わなかったもので・・・」
 俺もまさかあんな言い方するとは思わなかったよ。それでお前が照れるのも予想外だ。
「あの、その、確かに僕が涼宮さん優先になってしまうのは貴方に対して申し訳ないとも思いますが、やはり僕の立場であるとか、その、僕らの関係が公にできないのもありましてそこはやはり貴方に譲歩していただくしか他になくてですね・・・ですから・・・あの、すみません」
 八つ当たりして謝られたら俺の立場ないな・・・
 眉尻を下げて、申し訳なさそうにうつむく古泉見てたら、そんな気になった。
「悪かった。俺のただの八つ当たりだ。お前は悪くない」
 普段が人を食ったような態度で俺を煙に巻いて喋ったりするものだから、こんな風に時々素直になられるとなんというか、こう、まあ、あれだ。かわいい、だなんて思ってしまう。
「一応お前のことはわかってるし、それを無理矢理どうにかしろだとは言わんが、ただ、やっぱりおもしろくねぇなぁとかは思うんだよ。お前がハルヒのことばっか言ってると」
「・・・」
「だから・・・」
 一瞬だけ目線を周囲に走らせ辺りに誰もいないのを確認。よし。
「古泉」
「はい、・・・え」
 呼ばれて顔を少し上げかけたところで、古泉の唇にキスしてやった。
「たまにこういうことするのぐらいは許せ」
 驚いた顔の古泉は次に顔を赤くして、「そんな」とか「ちょっと・・・」などと抗議したそうなことを呟いていたが聞かないぜ。
 これぐらいはさせろよ。そうすれば俺だって嫉妬心丸出しなのは抑えて、ちょっとは穏やかにお前を見てられそうだからさ。




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