十代だから仕方ない
おまえこそなに言ってんの? という発言をかまして、十代はのほほんと席についた。
朝の挨拶ついでに、昨夜の試合の話を振ったらこれだ。ちょっとは世の中の空気を察しろ。
「なんだ、サッカーか。そうだよな。デュエルのはずないか。そんなんあったら、オレにも代表の話があるはずだもんな」
なんだその自信。とは、面倒くさいからツッコまないでおくことにする。ボケじゃなくて本気だから手におえない。
「わざわざオレに言ってくるくらいだから、デュエルの話かと思って」
「おまえと話すのに、デュエルの話題以外は出しちゃいけないのかよ」
「そんなことねーけど。でもオレ、デュエル以外のことはあんまり興味ないし、話、広がらないぜ?」
「デュエル馬鹿が」
「おっ。ほめ言葉だな」
十代はまんざらでもないように笑った。そうだ。こういうやつだった。
「ところでヨハン。朝っぱらから教室まで訪ねてきて、なんの用だよ」
「あー・・・・・・」
オレは迷った末に、
「英語の教科書貸して」
当初の目的は断念することにした。
後ろ手に隠し持っていた映画の試写会のチケットを握りつぶす。デュエル映画ならよかったんだけど。